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楽天打線の新機軸“攻撃的な二番”と“つなぎの四番”

 

“つなぎの四番”として打線を機能させている島内(左)


 今季はまだ勝利がなかったオリックスから、節目の1勝をもぎ取った。4月20日のオリックス戦(楽天生命パーク)に勝利した楽天は、創設15年目で通算900勝に到達。また新たな歴史を刻んだ。球団創設の2005年に入団し、その後、一度もチームを離れることなく歴史を見届けてきた平石洋介監督は「今の選手とスタッフはもちろん、先輩方も含めたみんなの力」と1勝の重みをかみしめた。すると翌21日の同カードで釜田佳直が1年9カ月ぶりの勝利を挙げ、チームは1000勝への道を歩み出した。

 石井一久新GM、球団初の生え抜き監督の下、新体制での船出となった今季の楽天だが、開幕前に則本昂大の離脱、開幕戦で岸孝之の負傷とダブルエースを欠く危機的状況が相次いだ。だが、始まってみるとスタートダッシュに成功して4月21日現在、2位・ソフトバンクに1.5ゲーム差をつけて首位に立つなど前評判を覆す戦いぶりを見せている。もちろん、先発不足という不安要素が解決されたわけではなく、勝利数の約半数は中継ぎ投手についているのが現状。ここまでは鉄壁のリリーフ陣とリーグトップクラスの攻撃陣が勝利を引き寄せていると言えるだろう。

 中でも興味深いのが攻撃陣。その特徴は攻撃的な二番とつなぎの四番という新しい打線だ。開幕から主に二番を務めてきたのが一発を秘める中長距離ヒッターの茂木栄五郎で、四番に座っているのは巧打が売りの島内宏明金森栄治打撃チーフコーチは「二番につなぎということは求めていない」と語り、細かな指示は多くはないようだ。さらに状況に応じてスタイルを変えることができる島内は、決定打はもちろんチャンスメークもできるため、平石監督から絶大な信頼を得ている。常識にとらわれないスタイルで切れ目のない打線を作り上げたことが、チーム本塁打は少ないながら、リーグトップクラスの得点を稼げている要因だろう。

 開幕前に「則本の穴は投手だけではなく野手も含めてカバーできれば」と語っていた平石監督の言葉どおりの戦いができている楽天。開幕から1カ月弱と、シーズンはまだまだこれからだが、新生楽天が新たな歴史を力強く刻んでいる。

文=阿部ちはる 写真=井沢雄一郎
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