昨年、創刊60周年を迎えた『週刊ベースボール』。現在、(平日だけ)1日に1冊ずつバックナンバーを紹介する連載を進行中。いつまで続くかは担当者の健康と気力、さらには読者の皆さんの反応次第。できれば末永くお付き合いいただきたい。 根来が放出されたわけ
今回は『1966年12月26日号』。定価は60円だ。
首位打者を獲った東京・
榎本喜八の変人ぶりが話題となっていた(これまでも何度かあったが)。
ドジャース戦対全日本で、試合前ベンチの片隅で座禅を組んで動かなかったり、早朝から球団事務所にやってきて、職員の椅子に座って壁側を向くと、目をつむって動かなくなったこともある。
このときはお茶を出されても誰があいさつしても、まったく反応なく、およそ7時間じっとしていたという。
周囲は、
「打撃を追究すると禅につながるのだろうか」
「おかしくなってしまったのか」
など心配していた。
サン
ケイは水野成夫オーナーが陣頭指揮に立ち、契約更改を行った。
選手もオーナーが相手では言いたいことも言えず苦労したようだが、かわいそうだったのが、捕手の
根来広光だ。球団側のオファーを聞き、「1日考えさせてほしい」と保留したのだが、翌日行くと、
「一度保留すると気持ちの上で食い違いができる。サンケイでは出場機会も少ない。もっと出場できるチームへ行ったら」
と水野オーナーからトレードを通告されてしまったのだ。決して、そこまで言われほど、高額を要求したわけではなかった。
根来に関しては、巨人からオファーがあったというウワサもあった。
金田正一が国鉄時代、ノーサインで受けてくれた根来をほしがっているのでは、というのが理由だったが、ガセだったようだ。
東映が40日のブラジル遠征から戻った。
水原茂監督だけ現地で外国人探しのため残ったという。
では、またあした。
<次回に続く>
写真=BBM