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川口和久WEBコラム

新元号令和の始まりとともに野球界にも働き方改革を!中継ぎよ、夢と金をしっかりつかめ!/川口和久WEBコラム

 

中継ぎだけブラック企業でいいの?


俺はコーチ時代、山口鉄也には本当に助けてもらった


 ええ、本日は、お忙しい中、お集まりいただきありがとうございます。
 今回、野球ファンのみなさまに訴えたいのは、球界にも働き改革が必要ではないか、ということです。それこそが令和の時代にプロ野球が存続するための……。

 失礼、最近、選挙があって毎日、演説が聞こえてきたので、それふうに書いてみようかと思ったが、面倒なのでやめる。

 世の中は働き改革ということで、どんどん休みが増えている。GWも10連休でしょ。すごいな。24時間働けますか、という栄養ドリンクのCMが流行ったことがあるが、変われば変わるものだ。

 球界で言えば、先発と抑えの“働き方”は、平成で随分変わった。
 先発は中6日、100球以内(実際には120球くらいかな)、抑えは勝ちゲームの1イニングというのが、かなり徹底されている。

 一方で、どんどんブラック企業化しているのが、中継ぎ、セットアッパー。4人、5人とつぎ込む継投野球が当たり前になって、70試合登板ではもう驚かない。それにポストシーズンも加わったら、とんでもない試合数になる。

 今はブルペンの球数を制限している球団もあるようだけど、試合展開次第で出番のはっきりしない中継ぎは、毎試合のようにブルペンで準備し続けなきゃいけない。昨年の契約更改でも、巨人田原誠次がブルペンの環境改善を訴えていたね。

 俺も投手コーチをしていたから、彼らを酷使した側でもあったが、できるだけ役割をはっきりさせ、出番が自分自身でも分かる起用をしようと思ってやっていた。監督の無茶な命令を止めたりもしたこともある。
 だから、たぶん、そんなに恨まれてはいない、と思う、きっと……。 

 投手に関しては、昭和は先発が最強。完投がたたえられ、給料も一番高かった。

 平成になって継投野球が定着したが、まず注目されたのが、抑え。横浜の大魔神・佐々木主浩阪神藤川球児中日岩瀬仁紀らは給料がどんどん上がった。

 その中で、取り残されていたのが、中継ぎ。大事な役割なのに、評価基準もセ、パでバラバラで、統一のホールドが導入されたのが、2005年だ。

 なんとなく先発、抑えより下に扱われてきたが、いまは6回で先発が交代しても何の不思議もない時代。リードしていたら、それをきっちり守って9回の抑えにつなぐ、負けていても踏ん張って試合を壊さず、打線の逆襲を待つ大事な役割だ。

 俺が先発時代、7、8回は一番しんどかった。打者も目が慣れるころで、投手も9回になればアドレナリンが出て何とかなるが、一度ヘタる時期。考えてみれば、それをほかの人に委ねるわけだから、今の先発は楽、と言われても仕方がない。

 いわば、後ろから投手起用を考える時代で、勝敗を握る一番大事な仕事と言えるのに、どの球団も使うだけ使うくせに、評価が低いのが、中継ぎになる。

 令和の時代は、残業だらけの彼らの仕事を減らすか、もっと給料を上げてやらなきゃいけないんじゃないかな。

写真=BBM
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