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プロ野球1980年代の名選手

ブーマー 外国人初の三冠王に輝いた“ブームを呼ぶ男”/プロ野球1980年代の名選手

 

1980年代。巨人戦テレビ中継が歴代最高を叩き出し、ライバルの阪神はフィーバーに沸き、一方のパ・リーグも西武を中心に新たな時代へと突入しつつあった。時代も昭和から平成へ。激動の時代でもあったが、底抜けに明るい時代でもあった。そんな華やかな10年間に活躍した名選手たちを振り返っていく。

不本意な来日ながら2年目には三冠王に


阪急・ブーマー


「私はホームランバッターではなく、アベレージヒッター」

 こう本人は語るが、日本人からすれば別格のパワーだった。1984年のパ・リーグで、外国人選手として初めて三冠王に輝き、阪急を最後の優勝に導いたブーマーだ。登録名の由来も、米球界で特大本塁打を連発して「ブームを呼ぶ男=ブーマー」と言われたことから。日本球界でも40本塁打を超えること3度を数え、のちのオリックス時代には本塁打を放った後のハイタッチで門田博光の肩を脱臼させてしまったこともあった。

 身長2メートル、体重100キロの体も規格外で、“怪人”とも評されたが、実は繊細で神経質。相手の投手を研究し、本塁打こそ左翼方向が圧倒的で典型的なプルヒッターといえたものの、長い腕と柔らかい手首を生かして、卓越したバットコントロールで安打は広角に打ち分けた。日本球界で打率3割をクリアしたのは8度。ホームランバッターであれアベレージヒッターであれ、あるいはその両方であれ、超優良助っ人だったことは確かだ。

 オールバニ州大では野球、アメフト、バスケットボールだけでなく、理学士の学位も取得。アメフトのニューヨーク・ジェッツとプロ契約も、すぐに体重とパワー不足を理由に自由契約となる。76年にパイレーツと契約、ブルージェイズで81年にメジャーデビュー。ツインズを経て83年に来日、阪急へ入団した。まったく日本へ行くことに興味がなかったが、ツインズのフロントから「行かなければ永久に野球ができないようにする」と恫喝されたと伝わる。かなりの移籍金が阪急から流れていたらしい。

 理不尽なことから来日することになったものの、1年目からフォア・ザ・チームを徹底するなど阪急に溶け込み、リーグ7位の打率.304を記録。ただ、米国で受けたヒザの手術から復帰したばかりで本調子ではなく、17本塁打にとどまっている。

 万全の状態で迎えたのが2年目の84年だ。打点は西武のスティーブに大差をつけて、当時の外国人選手としての最多記録となる130打点。本塁打でもロッテ落合博満から一定のリードを保ち続け、37本塁打を放った。首位打者は最後まで争ったが、4厘差で追う日本ハムのクルーズが最終戦、9月30日の近鉄戦(藤井寺)で4タコ。対照的に、23日の近鉄戦(藤井寺)で阪急が優勝を決めてからも失速することなく、打率.355でシーズンを終えて三冠王に。171安打、309塁打、長打率.641もリーグトップで、勝利打点21はパ・リーグ記録。もちろん、MVPにも輝いた。

 だが、広島との日本シリーズでは執拗な内角攻めの前に沈黙。阪急も日本一に届かなかった。

ダイエット成功の理由は?


 86年には自己最多の42本塁打。翌87年には119打点で2度目の打点王に。阪急ラストイヤーとなった88年は体重が118キロまで増えたことで故障がちとなって88試合の出場にとどまり、不本意な結果に終わったが、オフには大好物のパン、ポテトを一切、口にせず、減量に成功。オリックス元年の89年には開幕戦から5試合連続本塁打、7月5日の西武戦(西武)では通算1000安打にも到達して、最終的には初の全試合出場で124打点、打率.322を記録して3度目の打点王、2度目の首位打者で打撃2冠に輝いた。一方で、34併殺打は現在もプロ野球記録として残る。

 土井正三監督との確執もあって91年オフに退団。移籍したダイエーでは38歳ながら97打点で4度目の打点王に輝いたが、福岡ドームへの移転を見据えて守備力を重視するスタイルを掲げた根本陸夫監督の構想から外れて1年で退団した。当時、守備力の問題が退団の理由という記述もあったが、実際には走力。柔らかいハンドリングを誇る一塁守備も絶品だった。

 94年にオリックスの臨時打撃コーチとなり、その後は代理人として活躍。97年には阪急時代の恩師でもある上田利治監督が指揮を執る日本ハムにウィルソンを入団させて、

「ウエダさんに恩返しがしたかった」

 と語った。不本意な来日に始まった日本球界のキャリアだったが、その後もオリックスのイベントなどで何度も来日している。

写真=BBM

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週刊ベースボール編集部

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