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日本ハム・宮西尚生 平成プロ野球史に残る大記録「300ホールド」はなぜ生まれたのか?

 

前人未到の大記録を打ち立てた宮西


 30年と113日に及んだ平成の時代がもうすぐ終わりを告げる。この期間にプロ野球界でも多くの大記録が生まれたが、ある男が刻んだ「300」という数字にはもっとスポットライトが当たってもいいし、球史に刻まれる大きな偉業だと思う。

 日本ハム宮西尚生。4月13日のロッテ戦(札幌ドーム)で7回に3番手で登板し、前人未踏の「300ホールド」をマークした。11年連続で50試合登板を続け、昨年オフには左ヒジの骨棘滑膜切除手術を受けながらも開幕までにしっかりと合わせて、ここまで11試合に登板して9ホールドで防御率は0.96。ブルペンに欠かせない男として君臨し続けている。

 150キロを超えるスピードボールがあるわけでもなく、投げられる変化球もほぼスライダーだけで、あとはカーブ、シンカーと球種も少ない。では、なぜ宮西はこんなにも長い期間にわたって結果を残し続けられるのか? これだけ選手の情報をさまざまなデータで分析することが可能になり、相手打者もさまざまな対策を講じてくる中で──。

 その答えの一端は日々の創意工夫、あくなき探究心にある。宮西の生命線でもあるスライダーも試合ごとに変化する大きさ、スピード、ヒジの角度などを微妙に数センチ単位で変えて投げている。長いシーズンの中で体調やヒジや肩の状態も違う毎日違う中、その日の自分に合った投げ方、勝負に勝つための投げ方を変幻自在に変えられることこそがこの男の真骨頂であり、平成プロ野球史に刻まれる300ホールドという金字塔につながった。

 日本ハムに入団してから先発経験は一度もなく、中継ぎだけで生きてきた職人。圧倒的な力があるわけではないが、それでも厳しいプロの世界で長く生き残っていく術はあり、それを結果で証明し続けているのが宮西尚生だ。平成最強のホールド王として、令和の時代もさらに記録を積み上げていってほしいと思うし、こういった選手がいるからこそプロ野球はやっぱりおもしろい。

写真=BBM
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