3月末に2019年のシーズンが開幕してから1カ月が経過した。この間、様々な出来事があったが、果たして各チーム、誰が最も活躍したか。ここではセ・リーグ各球団の開幕1カ月時点でのMVPを見ていこう。 読売ジャイアンツ
開幕戦に先発したエース・
菅野智之が表ローテの柱ならば、次のカード(裏ローテ)の頭を任せられているのが山口俊だ。昨季も菅野に次ぐ9勝を挙げて、6完投のタフな右腕は、今季は4月23日の
ヤクルト戦(神宮)での勝利で4戦4勝。開幕から1カ月となった4月29日時点で
広島・
床田寛樹らと並んで、ハーラーダービートップに君臨する。今季はまだ完投こそないが、7、7、8、7回とイニングを稼ぎ、失点は3、1、0、2点と4戦連続でQSをマークしている。エース・菅野のほかに計算の立つ投手がいることはチームにとっては大きな強み。首位快走の立役者と言える。
広島東洋カープ
広島・床田寛樹
広島では何と言っても床田寛樹だろう。一昨年7月にトミー・ジョン手術を受け、しっかりと復活へのステップを踏んできた。開幕から先発ローテーションに入り、復帰登板こそ負け投手になったが、4月6日の
阪神戦(マツダ広島)で実に724日ぶりの勝利を挙げると、その後も登板のたびに勝利を挙げ、4月29日現在、4勝1敗でハーラーダービートップに並び、防御率も1.83で3位につけている。チームの調子が悪い時期には、床田の投板翌日から連敗が始まり、1週間後の床田の登板で連敗ストップということもあっただけに、もしこの左腕の復活がなければチームはどこまで沈んでいたか分からない。3年目だが、先発ローテを守り切れれば新人王の可能性もある。
阪神タイガース
昨季ゴールデン・グラブ賞を獲得したことで、自信にあふれた表情で試合に臨んでいる梅野隆太郎。今季もどっしりと扇の要、正捕手として投手陣をリードし、選手会長としてもチームを鼓舞し、けん引している。それ以上に今季は打撃でも大きく貢献。4月29日現在で打率.354はリーグ2位という好成績。4月9日にはサイクル安打も記録するなど依然として打撃好調を維持。Bクラスという状況ではあるが、梅野の存在が攻守でしっかりとチームを引っ張っている。
中日ドラゴンズ
MVPは谷元圭介しかいない。今季、何度もチームの窮地を救ってきた火消し男だ。開幕1カ月時点で12試合に登板し、防御率は0.00。4月17日の
DeNA戦(ナゴヤドーム)では6回二死一、二塁で登板すると、DeNAの代打の切り札・
佐野恵太を遊ゴロに打ち取った。19日のヤクルト戦(ナゴヤドーム)でも、先発の
笠原祥太郎が1点差に迫られ二死二塁。ここでも谷元が好リリーフで後続を断った。昨季は8試合に登板し、防御率14.90とまったく貢献できなかった分、「とにかく毎日の試合を一生懸命やるだけ」と話し、懸命に腕を振っている。現在リーグ防御率1位を誇る投手陣だが、谷元の火消しが支えている。
東京ヤクルトスワローズ
圧巻の「菅野撃ち」へ、この男が口火を切った。4月26日の巨人戦(神宮)、3回に菅野智之のスライダーを右翼席に運ぶと、続く
山田哲人、
バレンティンも続き、巨人戦では18年ぶりの3者連続本塁打となった。開幕カードで一番・
坂口智隆が左手親指を骨折するアクシデントがあり、打線変更を強いられたヤクルトだが、「二番・青木」は不動のままだ。37歳のベテランながら、プレーで見せる躍動感は若手選手に負けていない。元気いっぱいのプレーでチームを鼓舞し続けている。
横浜DeNAベイスターズ
4月末から大型連敗を喫したチームの中で、今永昇太が獅子奮迅の働きでチームを支える。初の開幕投手として臨んだ3月29日の中日戦(横浜)で8回無失点で幸先よく初白星を飾ると、4月29日時点で5試合に先発し、防御率リーグトップの1.18と抜群の安定感を誇っている。リリーフ陣が踏ん張り切れない事情もあり勝利数は2勝(1敗)止まりだが、昨季の不調から完全に立ち直り、DeNAのエースと呼ぶにふさわしい頼もしい投球が続いている。
写真=BBM