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週べ60周年記念

金田正一、このままではやめられん!/週ベ回顧

 

 昨年、創刊60周年を迎えた『週刊ベースボール』。現在、(平日だけ)1日に1冊ずつバックナンバーを紹介する連載を進行中。いつまで続くかは担当者の健康と気力、さらには読者の皆さんの反応次第。できれば末永くお付き合いいただきたい。

フランチャイズの適正化


表紙は巨人柴田勲



 今回は『1967年2月6日号』。定価は60円だ。

 巨人の金田正一に見切りをつけようとしている。

 1965年に国鉄から移籍し、同年はヒジ痛もあって28試合に投げ、11勝5敗ながら、1.84で最優秀防御率に輝いた。川上哲治監督は金田の練習に挑む姿勢を評価。周囲もそんな雰囲気だった(ようだ)。

 しかし、翌66年もヒジ痛の悪化による長期離脱があり、19試合の4勝6敗に終わった。
 2年続くと、雰囲気も変わる。

 オフには冷たく25パーセントの年俸ダウンを言い渡され、「暖かい地でリハビリを」と予定していたハワイ行きも「全体のトレーニングに参加してもらわなければ困る」と球団に止められた。

 金田は言う。
「本当はな、速球で勝負できなくなったときは、きっぱりユニフォームを脱ぐつもりだった。みじめな姿をいつまでもさらけ出しておきたくない。しかし今のまま現役を退いたのでは、高く評価してくれた巨人に対してはもちろん、ワシ自身、死んでも死にきれん。今年を意地を貫く最後の場と思っている。そのためには今までと変わった強い金田になるこっちゃ、いやなるで」

 新たな変化球“金田ボール”も編み出したらしい。

 東映の大川博オーナーの1リーグ制に対し、東京・永田雅一オーナーが盛んに言っていたのが、フランチャイズの適正化だった。
「東京と大阪に9チームがひしめき合っているのはおかしい。大洋が下関を拠点にして九州地区、近鉄は親会社の沿線は名古屋までのびているのだから名古屋でいいではないか」
 というものだ。

 根本はセ、パの人気格差。雪だるま式に増えるパ球団の赤字をどうするか。
 パでは、1リーグ派が東映、近鉄、西鉄。
 阪急、南海は無関心派。
 東京が反対派だった。東京にしても赤字に苦しんでいるのは確か。というか、斜陽産業である映画会社が母体の東京、東映が一番やばかった。
 
 にもかかわらず、2球団の確執は年々深まっているように見えた。
 これは大川と永田の確執から来ているものという声もあった。
 放送関係の株まで売って東京球場をつくった永田にしたら、ろくに金もかけず、何かと言えば1リーグ制を持ち出す大川がふがいなく思えてならないのだ、という。
 
 ただ、ラッパと言われ、まずは口からスタートの永田と経理畑の大川では意見がぶつかって当たり前ともいえる。

 では、またあした。
 
<次回に続く>

写真=BBM
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