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楽天・辛島航の武器は「打てそうなピッチャー」!?

 

5月1日のソフトバンク戦でチームの連敗を5で止める好投を見せた辛島


 楽天辛島航が、エースを欠くチームの中で頼もしく進化している。

 平成最後の試合、4月29日のロッテ戦(楽天生命パーク)も敗れ、2人のエースがいない楽天は泥沼から抜け出せず5連敗。そんな中で迎えた5月1日のソフトバンク戦(ヤフオクドーム)に先発したのが辛島だった。「連敗していても自分の投球は変わらない」と気負うことなくマウンドに向かうと、ランナーを出しながらも要所を締め6回無失点。打線も14安打9得点と爆発し、令和初戦を快勝で飾った。

 辛島はここまでの登板5試合でいずれもチームを勝利に導くなど、美馬学とともにエース不在のチームを支えている。だが、「(チームをけん引するような)そういう人間じゃないと思っているので」と特別意識することはない。

 つかみどころのない性格がそのまま投球にも表れている。「僕の武器ですか? 打てそうなピッチャー(笑)」。ストライクゾーンで勝負し、打たせて取るのが信条だ。三振を取りたいかと問えば「ないです」と即答する。

「取れる気がしないですもん。狙って取ったこともないですし。空振りしてくれ、っていう願いはあるけど(笑)、自信はない」

 自慢の剛球があるわけではないが緩急と投球術で打者を翻弄し、気がつけば抑えている。それが辛島の投球だ。

 プロ11年目を迎えた辛島だが、シーズン最多は8勝となかなか勝利には恵まれずにいる。だがその勝てない日々の中で冷静な自分を確立していった。

「とにかく抑えたいとか、勝ちたいとか、そういった気持ちが先行している時期はありましたね」。辛島に言わせればそれは「気合が入っているように見えてやることがあやふやになっている。今やるべきことが明確にできていない」のだ。だからこそ、抑えたいと思ったらどうするか、を考えるようになったという。

「もっと事細かに、こういうボールを投げようとか、ここから変化させようとか、ボール球でいいな、とか1球1球考えて投げることが最近はできているかなと思います」

 ひょうひょうとしている姿は成長の証。気負うことなく自分のペースでチームを勝利に導く。

文=阿部ちはる 写真=湯浅芳昭
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