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佐々木朗希は登板せずもチーム力を高めた大船渡が第1代表で県大会出場決定

 

大船渡高は岩手県大会沿岸南地区予選第1、第2代表決定戦で8回コールド(7対0)。この日、163キロ右腕・佐々木朗希の登板はなく、四番・右翼で4打数4安打2打点だった


 163キロ右腕・佐々木朗希(3年)を擁する大船渡高は5月6日、岩手県大会沿岸南地区予選第1、第2代表決定戦(対高田高)を8回コールドで制した(7対0)。昨秋に続き、「第1代表」で県大会出場を決めている。

 この試合、佐々木の登板機会はなく、四番・右翼で先発出場し、4打数4安打2打点とバットでチームの勝利に貢献しているが、夏へ向けて明るい材料があった。絶対的エースの代わりに先発マウンドに立った背番号10の右腕・和田吟太(3年)が、8回参考記録ながらノーヒットノーランと快投を見せたのだ。

高田高との第1、第2代表決定戦で先発した背番号10の右腕・和田は8回参考記録ながらノーヒットノーランの快投を見せている


 和田は佐々木と同じ大船渡一中出身で、地域選抜チームの「オール気仙」でも一緒にプレーした仲である。佐々木は中学3年時、股関節の成長痛によりコンディションが万全ではなく、和田が背番号1を背負ったこともある実力者だ。和田は昨秋の県大会3位決定戦(対専大北上高)では先発で6回5失点と粘ったものの、終盤に救援した佐々木が打ち込まれ、逆転負け(10対11)の苦い経験がある。

 夏の岩手県大会は最大7試合(今春の県大会8強以上でシード権を得た場合は6試合)あり、佐々木一人で勝ち上がるのは難しい。このため、控え投手の充実は大船渡高にとって大きなテーマ。つまり、勝負どころとなる準々決勝以降で、いかに佐々木が万全に状態で臨めるかが、35年ぶり2度目の甲子園出場へのポイントとなってくる。

ゴールデンウイーク最終日(5月6日)、沿岸南地区予選2回戦が行われた住田町運動公園球場には多くの観衆が訪れた。外野席がないため、フェンスに張り付いて観戦するファンの姿も


 また、佐々木とともに打線の中心である五番・木下大洋(3年)が2対0で迎えた3回表に2ラン。すでに、高校通算20本塁打以上を放っている右のスラッガーの一発は、大船渡高を勢いづけることは間違いない。昨秋は県大会4位と、あと1勝で東北大会出場を逃したが、一冬を越えて佐々木だけではない「チーム力」が高まっているのは確かである。

 岩手の地区予選は7地区(県北4代表、盛岡7代表、花巻4代表、北奥5代表、一関4代表、沿岸北2代表、沿岸南3代表)で行われており、県大会には29校が出場する。

球場入りの際も万が一の事故に備えて、岩手高野連の運営により、厳戒態勢が敷かれた


 すでに、大船渡高のライバルとなる盛岡大付高(センバツ出場校)、花巻東高、専大北上高と昨秋の上位3校も順当に県大会進出を決めている。県大会の抽選会は、5月9日に行われる予定で、17日に開幕する県大会からも目が離せない。

写真=佐藤博
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