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辰己涼介の「プロ」を確信した試合とは?

 

プロ初のホームランボールを手にする辰己(写真=内田孝治)


 2016年7月17日。立命大・辰己涼介の「プロ」を確信した試合だ。日米大学選手権第5戦(静岡草薙)は2勝2敗と優勝をかけた大一番。七番・中堅で先発出場した2年生は2回表、バックスクリーンに特大ソロを放っている。中堅122メートルある同球場で、打った瞬間それと分かるものすごい当たりであった(試合は4対4の10回裏、日本がサヨナラ勝ちで優勝)。

 ミズリー大の196センチ右腕のタナー・ホウク(現レッドソックス)が投じた151キロの剛速球にも力負けしないフルスイングは、強烈なインパクトであった。辰己がプレーした大学日本代表に限らず、国際試合において長打は難しい、とされる中での衝撃弾である。辰己は大学3、4年時も当然のように侍ジャパンでプレーし、その経験値を買われて、最終学年では主将の大役を務めている。

立命大2年時、辰己は日米大学選手権第5戦(静岡草薙)でバックスクリーン弾を放った(写真=太田裕史)


 昨年7月のハーレーム・ベースボールウイーク(オランダ)では、2本のアーチ(本塁打王)を放って7戦全勝優勝に貢献し、MVPを受賞した。手元でボールが動くと言われる外国人投手への順応性。この時点で「ドラフト1位」の評価は決まったとしても、言い過ぎではない活躍だった。辰己は打撃だけではなく、俊足強肩と、スピードも兼ね備えている万能プレーヤーであったからである。

 令和元年5月6日、辰己は西武戦(メットライフ)でプロ初本塁打を放った。中堅122メートルあるバックスクリーンへ一直線。まるで3年前、静岡で放った豪快なアーチのVTRを再生するかのようだった。

 ドラフト1位で入団した楽天では、新人野手で開幕一軍をゲットしたものの、プロの壁にぶつかり4月22日に無念の二軍降格。新元号に入った5月3日に一軍再昇格を果たすと即、結果を残してみせた。この一発で、これまでの流れを変えるのは間違いない。

 プロの水にも慣れたはず。常時、先発で起用し続けてこそ、対応力を発揮するのが、辰己の良さである。気は早い、と承知の上だが、プロ初アーチで「新人王」を確信した。

文=岡本朋祐 写真=BBM
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