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球界デキゴトロジー/5月12日

広島対巨人戦で、忍者まがいのとんだ乱入者(1990年5月12日)

 

まるで遊園地のステージで行われているアトラクション。この日、7回にも2人、8回にも3人、グラウンドに乱入してくるなどトラブルが続出した


 プロ野球の歴史の中から、日付にこだわってその日に何があったのか紹介していく。今回は1990年5月12日だ。

 緊迫したゲームが、5回終了後のグラウンド整備でホッと一息ついた瞬間だった。忍者まがいの男がスルスルとバックネットを登り始める。広島市民球場で行われた広島対巨人。折しも、NHKの中継が始まった直後、この模様は全国放送で映し出された。

 高さ13メートルのバックネット最上部にまで登りつめた男は、背中に背負ったリュックサックを前にまわし、その中から巻物を取り出し、「巨人ハ永遠ニ不ケツデス!」「天誅! 悪ハ必ズ滅ビル!」「ファンヲアザムクナ」の3本を掲げる。ほかにも手製の銀紙手裏剣やオモチャの手榴弾を投げつけるなど、乱行の限り。

 当初は面白がって「頑張れ、おじさん」と声をそろえていたスタンドも、中断が9分間にも及んで完全に水をさされた格好になり、最後のころには「早く降りろ!」のブーイングが沸き起こった。

 9分間の“籠城”を終えて、グラウンドに降りた男は駆け付けた警察官に「威力業務妨害」で現行犯逮捕されたが、調べに対して「子どもに夢を与えるプロ野球なのに、いまの巨人はけしからん」と犯行の動機を自供した。

写真=BBM
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