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週べ60周年記念

仁義なきテレビ戦争勃発?/週ベ回顧

 

 昨年、創刊60周年を迎えた『週刊ベースボール』。現在、(平日だけ)1日に1冊ずつバックナンバーを紹介する連載を進行中。いつまで続くかは担当者の健康と気力、さらには読者の皆さんの反応次第。できれば末永くお付き合いいただきたい。

日本テレビ対TBS、フジ連合軍


表紙は巨人長嶋茂雄




 今回は『1967年4月17日号』。定価は60円。
 
 日本テレビの正力松太郎会長が後楽園の巨人戦のラジオ中継に関して、TBS、ニッポン放送、文化放送を締め出す方針を明らかにした。
 これにより、後楽園の巨人戦のラジオ中継は、あまり中継がないNHKと、地方局を持たぬラジオ関東だけになるという。

 放映権に関しては、基本的には球団のものだが、巨人の場合、イコール日本テレビ、ひいては正力会長の図式になる。
 すでにテレビ中継に関しては、日本テレビが独占体制を固めており、中継しない日、放映時間が切れた後も一切他局の中継は許さなかった。
 視聴率は平均20パーセントほどだったというが、当時の中継は8時から9時25分と決まっていたらしく、試合最後まで中継できないこともあった。
 
 名目としては、この9時25分までに終わるために、67年から後楽園での試合開始を30分早めることが決まっており、逆に8時前に相当のイニングが進むことが予想され、これをラジオで流されるとテレビ視聴率に大きく影響してしまうから、ということだった。
 要は試合をすべて見たければ球場に、ということか。

 これはまさに、企業戦争であり、発端が日本テレビの後楽園球場の巨人戦中継の独占にあったことは間違いない。さらにいえば、巨人への人気の一極集中が顕著になったということだ。

 今までは他球団やパの中継をしていた各局が、なりふり構わず巨人戦に走っていた。

 ならばと、TBSとフジテレビがビジターの巨人戦独占に動き、川崎の「大洋─巨人」はTBS、神宮の「サンケイ─巨人」はフジが独占、中日球場の「中日─巨人」はTBS系の中日放送、フジ系の東海放送の2社独占、甲子園の「阪神─巨人」は水、日は当時TBSネットを使っていたらしい朝日放送、広島の「広島─巨人」は水曜がTBSの独占となっていた。

 正力を怒らせたのが、TBSとフジが広島にかけた攻勢だ。水以外の曜日の中継についても独占契約を結ぶ動きをし、それがすべて決まれば、日本テレビは広島での巨人戦を流せなくなる。
 正力の怒りは広島にも向き、「もう巨人軍を広島に行かせる必要はない」といったといううわさもあった。
 
 前回、巨人・正力亨オーナーが同じマスコミ球団のサンケイをパ・リーグに出すかのような再編論を言い出した話が、きな臭さを増す。

 では、またあした。
 
<次回に続く>

写真=BBM
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