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編集部員コラム「Every Day BASEBALL」

飄々と、淡々と投げ続けるDeNA大貫晋一

 

今季は7試合に投げて2勝3敗、防御率4.25


 プロ入り7試合目の先発となった5月23日の巨人戦(東京ドーム)は、自己ワーストの3回途中、6失点KOと悔しい内容となってしまった。最大の武器であるシンカーのように落ちるツーシームが高めに浮き、集中打を浴びた。

 登板を終えたドラフト3位の大貫晋一は「制球が安定せず、ストライクゾーンに集まってしまった」と悔しさをかみしめた。とはいえ、開幕から先発ローテの一角を担い、7試合中4試合のQS(クオリティスタート)は、同期入団のドラ1ルーキー・上茶谷大河の3試合を上回っており、期待以上の活躍だと言っていい。

 持ち味はツーシーム、スプリットを低めに集めた打たせるピッチングと、落ち着いたマウンドさばきにある。ピンチでも動揺を一切見せることはなく、飄々と打者に向かっていける。ラミレス監督も「ルーキーらしくないメンタル。投げるたびに良くなっている」とマウンドでの立ち振る舞いを評価する。

 神奈川の出身ではあるが、寮生活にあこがれて静岡・桐陽高に進んだ。高3夏は県8強どまりで甲子園は遠かった。日体大では右ヒジのトミー・ジョン手術を経験するなど、決して順風満帆な野球人生ではなかった。

 それでも信念を持ち、投げ続けた右腕にスポットライトが当たったのが社会人に進んでからだった。新日鐵住金鹿島の主戦として出場した2018年の都市対抗野球での完投勝利が、スカウトの目に留まったのだった。

 そんな大貫は「中学時代は試合にも出てることも少なかったので、当時の友人は『まさかプロになるとは……』と言われます。社会人に進んだときも『おまえ、まだ野球やってたの?』っていじられたくらいですから」と控えめに語る。

 飄々と、淡々と投げ続けることは簡単ではない。それがプロのマウンドとなれば当然だ。一つひとつアウトを積み上げるスタイルの大貫は「1年間、ケガなくローテを守り切る」と1年目の目標を挙げる。まずは巨人戦での経験をしっかり反省し、次の先発につなげたいところだ。
文=滝川和臣 写真=大賀章好
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