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楽天・高梨雄平がツーシームを投げる際の心得とは?

 

ツーシームも武器としている高梨


 5月29日発売の週刊ベースボールの変化球特集で、楽天高梨雄平がツーシームの投げ方を紹介してくれた。スライダーの印象が強い高梨だが、「ツーシームを投げる割合はだいぶ多い」と本人も認めるほど投球を支えている球種である。「真っすぐとスライダーだけだと打つのは簡単だと思うんですけど、そこに逆方向の変化球があることで難しくなると思うので」。

 高梨のツーシームはJX-ENEOS時代、現在の形である横投げに変えたときに覚えた球種だ。上投げのときから投げていたスライダーが、腕を下げた際にうまく操れなかったため投げ始めたという。フォームがまだ固まっていない段階で覚えたが、フォームに修正を加えても「こいつはそばにいてくれましたね(笑)」と語るほど、覚えた当初から自分のモノにしていた。

 ツーシームとの出合いにもつながった腕を下げたことというのは、考え方にも大きな変化を与えるキッカケとなった。中継ぎに失点はタブー。腕を下げ、中継ぎとしての道を切り開いたとき、1点の重みをより大きく感じることとなった。

 インタビューの中で「打球を上げさせないことは意識している」と語ったが、その意識は横投げに変えたときに芽生えたものだったという。「ホームランは1球で1点が入ってしまうじゃないですか。でもヒットだったら3本打たれても満塁なんですよ。そうなったら、打球を上げさせないことが一番いいんじゃないかって」。その影響で四球が増えてしまうことは悩みのひとつではあるが、高梨が追い求めるのは「自分の投げた試合でゼロに抑える」ことなのだ。

 ツーシームを投げる際の心得として「曲げたいとかそういう欲でフォームが変わると思うので、余計な欲を持たずに、キャッチャーのミットを狙って投げること」と語った。同じように、プロで生きていくために余計な欲は持たない。「今できることって限られているので、そこをしっかりやるだけ」。苦労してきた分だけ、考え抜いて導き出したスタイルがある。進化の途中で得た武器と、そのぶれない考え方で今季も多くの登板を重ねていく。

文=阿部ちはる 写真=BBM
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