昨年、創刊60周年を迎えた『週刊ベースボール』。現在、(平日だけ)1日に1冊ずつバックナンバーを紹介する連載を進行中。いつまで続くかは担当者の健康と気力、さらには読者の皆さんの反応次第。できれば末永くお付き合いいただきたい。 村山実の血行障害
今回は『1967年6月26日号』。定価は60円。
このネタ、初めてではないが、新人らしかぬ言動が話題になっている
阪神・
江夏豊という記事がまたあった。
巨人・森昌彦は「長い捕手人生で、あんな新人に会ったのは、初めてや」と驚いていた。
江夏が先発していた試合で、打席に入る際の話だ。江夏は捕手の森に頭をペコリと下げた後、こう言ったらしい。
「森さん、僕、今夜は打撃練習をやらなかったんです。だから変化球は全然打てそうにありません。すいませんけど、カーブは投げさせないでください」
試合は阪神が2点リード。巨人ナインは「こんな若造に!」とカッカしていたが、この男には関係なかったらしい。
森は「なんか馬鹿にされたような、ユー
モラスなような」で、ついふき出してしまったという。
江夏に聞くと、
「あつかましい? なぜですか。あそこでヒットを打ちたかったから素直にお願いしたまでです」
とあっさり。
なお、森については、併用となっている
大橋勲との冷戦の記事もあった。口をきかないだけではなく、目も合わせないのだから穏やかではない。
6月7日の大洋戦(川崎)では、巨人のベテラン、
金田正一が1試合セ新記録の16奪三振をマークした。もちろん、ヒジは万全ではない。イニングの合間にはカイロを当てて温め(冷やすのではない)、トレーナーからマッサージを受けていたというが、雑誌には試合中のベンチ最前列で堂々とマッサージを受ける金田の写真がある。
さすがだ。
創設32年目、阪急が悲願の優勝に向け、突き進んでいるが、その中でベテラン・
梶本隆夫がうれしい記録を達成した。
6月6日、南海戦で今季6勝目、通算200勝を完封で飾った。グラウンドにはファンが次々降り、彼らの手で胴上げされた。
なお、阪急は64年に2位になったとき、8月、宝塚ガールたちを球場に動員し、ファンとともに応援歌を歌っていたこともある。一部ファンは「今年もまた」と期待していたらしいが、その年は動員と時を同じするようにチームが失速したことで、小林オーナーが「宝塚の女の子を引っ張りだしたのは失敗だった」と発言し、以後は話にも出なくなったらしい。
鶴の一声だ。
では、またあした。
<次回に続く>