週刊ベースボールONLINE

川口和久WEBコラム

高橋慶彦さん、西川龍馬の記録が止まりましたが、お気持ちは……/川口和久WEBコラム

 

持っている男、西川龍馬


27試合連続安打を決めた西川


 6月5日、RCCラジオの中継で広島西武戦(メットライフ)の解説をした。
 あの試合の注目は、前年のセ、パ王者の戦いもそうだけど、26試合で球団2位の山崎隆造さんに並んでいた西川龍馬の連続試合安打記録もある。
 1位は、もちろん、われらのヨシヒコさん。先輩の高橋慶彦さんが1979年につくった現在も日本記録の33試合連続安打だ。

 実は先日、慶彦さんと食事をしたが、そのとき「俺が誇れるのは、それしかない」と言っていた。俺は「いやいや、そんなことないでしょ」って答えた。通算1826安打、盗塁王3回。一時代を築いた素晴らしい選手だからね。

 5日は西川にとって、27試合目への挑戦だったが、最初からヒットのにおいがまったくしなかった。
 打ちたい気持ちが強すぎ。記録をつくりたい! という前向きな気持ちよりは、何とかやらなきゃみたいな追い詰められた心境になってしまったように見えた。
 
 もともと体勢が崩れてもヒットにできる天才的なバットコントロールを武器にするタイプではあるが、スイングが荒っぽく、体が泳ぐようなシーンもあった。あれじゃ、打てない。

 1、2打席凡退のあと、7回の3打席目にはセーフティー気味の送りバント。これで、もしかしたら気持ちが切り替えられるかなと思ったが、8回一死の場面では、あっさりレフトフライ。ベンチに戻るとき笑顔が見えた。勝利はほぼ見えていたし、重圧から解放されて、ほっとしたんだろう。
 
 俺もそうだったが、誰もが記録は途切れたと思ったはずだ。

 それが続く曽根海成がバントしようとし、投球を左手の甲に当て、代打の長野久義が四球、會澤翼がヒットでつなぎ、田中広輔が満塁弾。雰囲気が一気に変わり、中継でもアナウンサーに「9回は西川に回ったらいいですね」と言っていた。

 9回は二番から始まり、菊池涼介がレフトフライ、バティスタがショートゴロで二死。もう9対1と勝負も決まっていたし、これで終わりかもと思ったら鈴木誠也が粘って四球。同級生の西川に、もう1回チャンスをと思ったんだろう。
 ただ、やっぱりタイミングが合わず、ボテボテにセカンドゴロになったが、うまく弾んでHがついた。これは誠也が招いてくれたヒットだ。感謝しないとね。
 
 結局、西川の記録は次の日に止まった。27試合もすごいと思うけど、慶彦さんの記録には並ぶだけでも、まだ6試合あったわけだから、新記録に関しては、惜しいとは言えない。

 でも、どうですか、慶彦さん。記録が抜かれなくて、よかった? それとも抜かれてもよし、でしたか?

写真=BBM
週刊ベースボール編集部

週刊ベースボール編集部

週刊ベースボール編集部が今注目の選手、出来事をお届け

関連情報

みんなのコメント

  • 新着順
  • いいね順

新着 野球コラム

アクセス数ランキング

注目数ランキング