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JX-ENEOSで存在感を発揮する新人左腕・藤井聖

 

三菱日立パワーシステムズの補強選手として都市対抗本戦に出場するJX-ENEOSの藤井聖


 都市対抗野球大会本戦出場を逃したものの、西関東予選でその存在感をアピールしたルーキーがJX-ENEOSにいる。5月28日の三菱日立パワーシステムズ(MHPS)との戦いで、先発登板を任された新人左腕の藤井聖投手だ。

 藤井はこの日の試合で7回1失点、9三振を奪う好投を見せ、西関東予選では敢闘賞に輝いた。ランナーを背負ってからも動じることのない、力強い投球スタイルとキレのあるストレートが印象的だった。

 しかし、チームは予選敗退。「エネオスで都市対抗に出たい」という気持ちの強かった藤井は、MHPSの補強選手に選ばれたものの、素直に喜べない日々が続いたと悔しさをにじませる。

 今でこそエネオスに欠かせない左腕として活躍する藤井だが、ここまでの野球人生は決して華やかではなかったと話す。高校は瀬谷シニア時代の先輩からの誘いもあり、静岡県にある富士市立高へ進学した。大学は東都の名門・東洋大に入学したが、「ずっとメンバー外。ほとんど投げる機会がなかった。同期の上茶谷(大河。現・横浜DeNAベイスターズ)も最初はメンバー外だったので、励まし合っていました」と振り返る。

 転機になったのは大学4年のときだ。新監督に就任した杉本泰彦監督は、藤井の持ち味であるストレートを「どんどんいけ!」と後押しした。これが結果的に自信となり、余計な不安もなくなった。

「長所を生かしてもらえたことで今の自分がいると思います。単純な性格なので褒められると状態が良くなるタイプです」と笑顔を見せた。

 取材日(6月19日)のJABA北海道大会では、トヨタ自動車東日本相手に5回無失点と完璧なピッチングを披露した。そんな藤井に今後の目標を聞くと、「プロに行きたい気持ちはありますが、エネオスで都市対抗に出て優勝したいので今はあまり考えていません。まずは今年、MHPSの補強で頑張りたい。優勝して神奈川にひと枠増やすぞと前向きです」と心を切り替える。都市対抗本戦に向けて意気込む姿は、ルーキーらしからぬ頼もしさを感じた。

文・写真=豊島若菜
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