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週べ60周年記念

鉄仮面・藤井栄治のマスコミ塩対応/週ベ回顧

 

 昨年、創刊60周年を迎えた『週刊ベースボール』。現在、(平日だけ)1日に1冊ずつバックナンバーを紹介する連載を進行中。いつまで続くかは担当者の健康と気力、さらには読者の皆さんの反応次第。できれば末永くお付き合いいただきたい。

サンケイ・武上四郎のケンカ自慢


表紙は巨人柴田勲


 今回は『1967年10月2日号』。定価は60円。
 鉄仮面と言われ、ほとんど表情を変えなかった阪神藤井栄治。そのマスコミへの塩対応が面白い。

 巨人戦でサヨナラ本塁打を打った後だ。大勢の報道陣に囲まれた藤井は、「どんな球だった?」と聞かれ、
「それは僕よりも投げた本人のほうがよく知っていると思うので、向こうに聞いてください」
 さらに「ベースを1周したとき何を思った?」には、
「別に何も考えなかったですよ」
 ほかにも何を聞いても、そっけない返事ばかり。
 別に機嫌が悪いわけではなく、いつもそうだったようだ。
 親しい記者に「何か喋れよ。これじゃ記事が書けん」と言われると、
「何も言うことないんですよ。書くことがないんだったら、なんでもいいから書いてください。何を書いてもらってもいいですよ」
 一人の記者がむっとして「じゃあ、でたらめでもいいんだな」と言ってきたが、これも涼しい顔で、
「ああ、いいですよ。まさか命まで取るとは言わんでしょ」
 さすが。

 サンケイの新人王候補・武上四郎が妙な自慢をしていた。
「世間広しといっても、パトカーで通学したのは、俺ぐらいのものだろう」
 一昔前、故郷の宮崎市では“ケンカ四郎”と呼ばれる有名人だったという。
「中学時代から子分を40人持つガキ大将。毎日ケンカばかりやっていたが、一度も弱い者いじめはしていない。相手はいつも土地の不良やチンピラだったよ」

 特に激しく抗争していたのが柴団と名乗るチンピラグループだったという。
「一度、その一人をこっぴどくやっつけたので警官が出てきた。しばらく自宅謹慎となった後、学校に行くようになったのだが、警察が“お礼参りがあるといかん”とパトカーで送り迎えをしてくれたんだ。いい気持ちだったな」

 優勝へのマジックナンバーが1ケタになった阪急ではマジメ助っ人、ウインディの評判がいい。
 来日からこれまでは、いつも打率2割5分台だったが、この年は3割近い打率を残している。
 マジメで愛妻家。趣味はギターをつまびきながらウエスタンものを唄うことで、なかなかの美声だったらしい。

 では、またあした。

<次回に続く>

写真=BBM
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