通算300本塁打の記念球を手に笑顔の掛布
プロ野球の歴史の中から、日付にこだわってその日に何があったのか紹介していく。今回は1985年6月23日だ。
「なんとか甲子園で打ちたかったんですけどね」
憎むべき梅雨空を見上げながら、
阪神の
掛布雅之がつぶやいたのは6月18日からの甲子園での
ヤクルト3連戦が雨で2試合流れて、「あと1本」に迫った300本塁打を本拠地で打つのが難しくなったことだった。
6月6日からの10試合の成績が34打数7安打で2割そこそことくれば、1日でも早く、この“重荷”を取ってしまいたかったのかもしれない。
そんな心の暗雲を払ってホッとしたのか、6月23日の大洋戦で6回、メモリアルアーチを放った掛布は一塁を回ったところで、自らを納得させるように右手で3本の指を伸ばして「300」のポーズを示した。
「長嶋(茂雄)さんにあこがれて野球を始めた。次は長嶋さんの444本を目標にしたい」と掛布は新たな目標を設定した。
写真=BBM