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ソフトバンク・甲斐野央は抑えの“魅力”にハマるか

 

森不在で抑えを経験した甲斐野


 現在、僅差の勝ち試合を締める9回のマウンドに、森唯斗の姿はない。「キング・オブ・クローザー」サファテを故障で欠く中、昨季37セーブを挙げてタイトルを獲得した鷹の守護神は右背部に痛みを訴え、6月16日に出場選手登録を抹消された。

 首脳陣は森不在の間は「(抑えは)日替わりでやっていく」方針を示しているが、未来の守護神の片りんを感じさせるのがルーキー右腕・甲斐野央だ。6月20日のヤクルト戦(神宮)で1点リードの9回を三者凡退に斬って取り、プロ初セーブをマークした。

 この試合はリベンジでもあった。初めてセーブシチュエーションでマウンドに上がった18日のヤクルト戦(神宮)では2球で一死を奪ったが、二死満塁にし、青木宣親に押し出し四球を与えて降板。「(頭が)真っ白でした」。やることは変わらないはずなのに、変に“9回”を意識してしまった自分がいたという。

 この言葉を聞いて思い出した。昨年夏場、抑えとして存在感を増してきた森がこう言っていたのだ。「最初はプレッシャーがものすごくあって本当にガチガチで、すごく舞い上がっていた自分がいました」。

 それでも、登板を重ねるにつれて心境の変化が。新しく自分の仕事場となった9回のマウンドについて、笑顔を見せながら教えてくれた。

「9回は『上がった人にしか分からないところ』だと思いますし、本当にすごい!」

 シーズンを終えると、「(抑えは)楽しかったですし、やりがいのあるポジションだなと思いましたね」と振り返り、今季に向けても「誰にも譲るつもりはない」と意気込んだ。

 甲斐野がどこまで抑えを任されるかは分からない。自身も「(抑えとして)9回は俺がいくんだという思いは全然ない」と語る。だが、昨季の森のように登板を重ねれば、抑えの“魔性の力”に魅了されるかもしれない。

文=菅原梨恵 写真=湯浅芳昭
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