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上田大河[大商大高]勝てる要素が詰まったエース/大阪注目プレーヤー

 

熱戦が繰り広げられている高校野球大阪大会。果たして、甲子園の切符をつかむのはどのチームか。主役となるであろう、注目選手をクローズアップする。

大商大高・上田大河


上田大河(うえだ・たいが)
投手/181センチ80キロ/右投右打/3年

 準々決勝の履正社戦は2失点完投、準決勝では東海大大阪仰星を完封。大商大高が初めて大阪の頂点に立った春、一気に夏の主役へ名乗りを上げた。

 最速148キロのストレートと空振りの取れるスライダー。制球力も高く四球で崩れる不安もない。ただ、何より素晴らしいと感心するのは常に課題へ目を向け、一つひとつ克服しながら力をつけてきた成長過程だ。

 1年夏から大会で登板。秋に高橋克典監督から「いつもタイミングが一緒やからバッターが合う」と指摘されると、そこから打者目線を強く意識。テンポや間合いを深く考えるようになり、今では自在に操る。球にまだバラつきがあった昨秋は、投球練習時の姿を動画で撮影。左肩の開きやリリースポイントを繰り返しチェックし、フォームを固めた。

「3月の練習試合でこんなこともありました」と高橋監督が教えてくれた話も面白い。素晴らしい球を続けベンチへ戻ってきた上田が高橋監督に言った。

「つかんだかもしれません」

「何をや?」と返すと「これまでは背筋で投げていました」と上田。これに「ピッチャーは背筋でボールを投げるもんやろ」と再び返すと「いえ、体重移動のときから背筋で投げにいくとダメだという感覚が分かった気がします」。

 早くから上体に力が入っていては質の高い球は投げられない、というニュアンスだった。150キロに迫るボールを投げる一方で、頭の中でこうしたことを考えている、それが上田大河という投手なのだ。

「春の結果は確かに自信になりました。ただ、夏は相手も相当研究してくると思うので、それ以上に成長するしかない。ピッチングをどこまでも追求して夏の大会を迎えたい」

 勝てる要素が詰まったエースには甲子園のマウンドが似合うはずだ。

文=谷上史朗 写真=BBM
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