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森敬斗[桐蔭学園]スカウトも注目する春夏連覇へ導くキャプテン/神奈川注目プレーヤー

 

夢の甲子園切符をつかむため、一投一打に魂を込める。集大成の夏――。神奈川を熱くする注目選手から目が離せない。

桐蔭学園・森敬斗


森敬斗(もり・けいと)
内野手/175センチ68キロ/右投左打/3年

 あくなき向上心と、名門の主将としての強い責任感の表れだ。春の初戦となった3回戦の試合後。向上に敗戦を喫した森敬斗は、沈痛な表情で言葉を絞り出した。

「センバツでは(1回戦の啓新との試合で自身が)3安打(1打点)しても勝てませんでした。今日も5打席すべてに出塁して、2本ヒットを打っても勝てなかった。もちろん野球は1人では勝てませんが、それでも勝てないのなら、もっと、自分のレベルを高めるしかないと思っています」

 昨秋は主将のパフォーマンスがそのままチームの勝利に直結した。常総学院との関東大会の1回戦では、2点を追う9回裏に逆転サヨナラ満塁弾。春日部共栄との決勝では初回に2ランを放ち、6対6の6回には勝ち越し3ランと計5打点と24年ぶり優勝の原動力に。関東大会4試合で3本塁打、12打点。森の打棒なくして、16年ぶりのセンバツ出場はなかった。

好機を広げた頭脳的プレー


 森はバットだけではなく、遊撃守備にも定評がある。50メートル走5.8秒の俊敏なフットワークもさることながら、見せ場は三遊間への深いゴロ。捕球後の動作も素早く、遠投120メートルの強肩で矢のような送球は“華麗”の言葉に尽きる。

 ただ、派手な個人技でチームを引っ張っていこうとは思っていない。形はどうあれ、いかに勝利に貢献するプレーをするか。これを常に考えている。今春の向上との3回戦でもそうだった。初回、一死一塁の場面で三塁線へ絶妙なバントヒットを決めている。

「自分の判断です。打ちたい気持ちはありましたが、相手投手が速球派ではなかったので、成功する確率が高いと」

 森の頭脳的なプレーがきっかけとなり、後続が4連打。桐蔭学園は初回を5点のビッグイニングとした。また、勝ち越しを許した直後の10回裏、先頭打者として打席に立つと、気負うことなくセンターにはじき返した。すかさず相手バッテリーを揺さぶる二盗を決め、一打同点のシーンを自らの足で作った。1点差で惜敗したものの、試合の展開を読んで、その流れに応じたプレーができる。これも、森が持つセンスの1つだ。

リーダーとしての振る舞い


 センバツ後には高校日本代表第一次候補選手に選ばれ、国際大会対策研修合宿に参加。ここでの3日間は森の意識をさらに高めた。

「全国のすごい投手、すごい打者と接することができて、大きな刺激になりました。彼らの技術もそうですが、特に参考になったのが、取り組む姿勢。誰一人として楽にレベルアップしようなんて選手はいませんでした」

 森は高校日本代表合宿から帰ると、学んできたことを自チームの選手たちに伝えた。U-18代表を指揮する永田裕治監督(報徳学園前監督)が合宿中に「この研修は、リーダーズ研修でもある。ここで学んだことを持ち帰って切磋琢磨してほしい」と呼びかけた指揮官の指示を、忠実に実践したのだ。

 同合宿から戻ってから6日後、向上との3回戦で初戦敗退を喫した。昨秋は4回戦で快勝(7対2)した相手に一冬を越えてリベンジされた。森は「この結果からすると、それがまだ、還元できていない」と眉間にしわを寄せる。

「僕は自分のレベルをもう2段階上げたいと思っていますが、みんながそういう気持ちにならないと、夏に勝つのは難しいと思います」

 打ってよし、守ってよし、走ってよし。さらに端正なマスクも加えた“4拍子”がそろった森には、NPBのスカウトも熱い視線を送っている。リーダーとしてチームの意識を高め、春夏連続甲子園へとけん引した際には、森の評価はもう1ランク上がることは間違いない。

「勝ち続けていく伝統を、つないでいかないといけない」

 神奈川の強豪校としての威信をかける今夏、本当の真価が問われる。

取材・文=上原伸一 写真=BBM

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