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編集部員コラム「Every Day BASEBALL」

首位打者へ突き進むロッテ・荻野貴司の秘めたる思い

 

荻野は10年目のシーズンで充実のときを迎えている


 開幕時点では想像もできなかった一・二番コンビの働きだ。ロッテ打線で斬り込み役を担う荻野貴司と、二番に座り次々と印象的な一撃を放っている鈴木大地。ともに開幕スタメンにその名はなかったのだから。

 二番に鈴木がピタリとはまったのは驚きだったが、一番・荻野については“戻るべき人が戻ってきた”というに過ぎない。ケガに泣かされ続け、いまだ規定打席に到達したことはないものの、そのポテンシャルは常に高く評価されてきた。

「小さなものはありますけど、今年は特にどこが痛いというのがないので。体については順調に来ているのが、一番いいのかなと思います」

 今季はオフにトライした短いバットを自分のモノにすることができず、ポイントを見失ってオープン戦で打撃不振に陥った。その結果、開幕スタメンを逃しはしたが、バットを昨年までのものに戻すと、天性の打撃感覚も取り戻す。あっという間に“一番”の座を奪い返し、6月から7月にかけて20試合連続安打をマーク。安定してヒットを積み重ね、首位打者争いをリードしている。

「首位打者という響きはいいものですけどね。まだ、あまり意識はしていないです」。それでも、「昨年までは試合ごとにけっこう調子の波が激しかったですけど、その波が少しは小さくなっているのかなと思います」と確かな手応えも感じている。

 今週末にはプロ10年目で初となるオールスターへの出場が決まっている。昨季も監督推薦で選出されていたが、直前で右手指を骨折。初の夢舞台どころか、残りのシーズンをすべて棒に振ってしまった。

 そんな不運の連続もあって、持てる力をフルに発揮することができないまま34歳となる年を迎えた。だが、この“千葉の韋駄天”が健康を保ったまま試合に出続けることができれば、今の成績をたたき出すことくらいは当たり前のことなのかもしれない。

「今年で10年目。いい節目の年なので、『今年こそは最後までやり切る』という気持ちは例年以上に強いです。そこで満足するつもりはないですけど、まずは『1年間やれたな』というものが欲しい」

 プロ入り後、最初の大きなケガを負うまでに、開幕から46試合で打率.326、25盗塁をマークした2010年ルーキーイヤーのインパクトはいまだに語り草だ。迎えた10年目のシーズン。1年を最後まで走り切ったとき、荻野は自らの“衝撃”をさらに超えていくはずだ。

文=杉浦多夢 写真=BBM

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