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善波力[慶応義塾]大きな目標を掲げるキャプテン/神奈川注目プレーヤー

 

夢の甲子園切符をつかむため、一投一打に魂を込める。集大成の夏――。神奈川を熱くする注目選手から目が離せない。

慶応義塾・善波力


善波力(よしなみ・つとむ)
捕手/168センチ74キロ/右投右打/3年

 最後の夏へ向け、眠れない日々が続いているという。善波力は小、中、高を通じて最終学年ではすべて主将。名門・慶応義塾をけん引する重圧は半端ではない。ただ、プレー以外に、もう一つの悩みがあった。

「昨年のスローガンは『TKO』。桐光と東海大相模を倒して甲子園に行く――。明確で分りやすかった。今年も選手ミーティングを通じて考えないといけないんですが、あまりにハードルが高過ぎる(苦笑)」

 昨夏の甲子園では、森林貴彦監督が試合ごとのテーマとして「捲土重来」「迅速果断」と四字熟語を提示。選手を結束させる上で、効果は絶大だった。昨秋、今春の県大会では発信しておらず「(夏はノーシードで)8試合あるのでやってみようかな(苦笑)」と展望を語るが、「部員の中から出るのが一番、良いんです」とアイデアを心待ちにしている。周囲から“ダジャレ”のセンスを問われているからこそ、善波主将は夏本番を前に頭を抱えているのだ。

尊敬する父の背中


 父は2008年から明大を指揮する善波達也監督(神奈川・桐蔭学園高出身)で、幼少時から東京六大学リーグ戦を神宮球場で観戦。その後「野球も勉強も、高いレベルで取り組める」と慶応義塾を志望した。中学時代は9教科の評定(満点45)で43の成績優秀。麻生ボーイズではNOMOジャパンに選出(善波は副将、主将は智弁和歌山の主将・黒川史陽)された競技実績もあり、難関の推薦入試を突破しKEIOの門をたたいた。

 野球を始めた小学校3年時から父と同じポジション、捕手一筋である。

「過去にもヤクルト・古田(敦也)さん、巨人・阿部(慎之助)さんのように勝ったチームのキャッチャーが評価される。『勝てる捕手』を目指す上でキャッチング、スローイングのレベルアップに努めてきました」

 慶応義塾では1年秋から定位置を確保し2年春、夏の甲子園でマスクをかぶった。遠投105メートル、二塁送球1.9秒を切ることもある強肩で、投手から全幅の信頼を受けている。

「甲子園では結果的に1つ(春は初戦敗退で、夏は初戦突破)しか勝てなかった。日本一にならないと面白くないと感じたんです。神奈川では及川(雅貴、横浜)がいますが、西(純矢、創志学園)、奥川(恭伸、星稜)ら全国レベルのチームに勝って日本一を遂げたい。神奈川で勝つことも大変で、難しいことではありますが、大きな目標を掲げないと、日本一にも届かない」

 春、夏の甲子園を通じて11打数1安打(2打点)。冬場は打力アップに努め、フォーム改善に取り組んだ。

「バットのトップの位置、角度、ヘッドが(投手方向に)入り過ぎないように、スイング軌道を修正し、右足を残してステップして左腰を開かないようにしてきました」

 冬場を越え、明らかな成長を実感。昨秋は対外試合の打率が.280と安定感を欠いていたが、3月の対外試合解禁以降は4割台。パンチ力が打席で生かされ、長打が増えている。下位打線に固定される立場だが、夏までには「五番か、六番を打ちたい」と意欲的に語る。

 父は身近な相談相手であり「野球だけでなく、人としての接し方など、お手本であり、見本です」と、尊敬する存在だ。卒業後は慶大でプレーするのが既定路線も、高校で大学生コーチやOBとコミュニケーションを重ねる中で、将来の職業として「商社」に興味を抱いている。語学を仕事に生かすためにも、海外留学を希望。18歳で人生のビジョンが明確であるが今夏までは、「日本一」だけに集中する。

写真=BBM

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週刊ベースボール編集部

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