今年のJFE東日本の躍進を語るには、この選手たちの存在を切り離すことはできない。ルーキーながら、ズバ抜けたバッティングセンスを披露する、今川優馬外野手と平山快内野手だ。
この2人の面白いところは、どちらかが打つと、待っていましたとばかりに必ずもう1人も打つところだ。先日行われた日本代表候補とのオープン戦では今川外野手は3本塁打、平山内野手は1本塁打と爪跡を残した。今川は2打席連続で、そして平山の一発もミスター社会人野球と名高い、三菱重工神戸・高砂の守安玲緒投手が操る緻密なコントロールの球から放った本塁打だった。
両選手ともに東海大学系列の高校を卒業後、今川は東海大北海道へ進学し、平山は東海大へ進学した。今川は豪快なバッティング同様、ハキハキとした受け答えに大きな笑顔が印象的だ。一方の平山はおっとりとした口調だが、芯の通った発言が多い。見た目と性格のタイプは違うものの、どちらもメンタル面の強さを会話の随所に感じる。
「シーズンの初めに落合成紀監督から、『使うのは首脳陣。打てなくても責任は俺らにある。だからノビノビやれ』と言われてからは楽な気持ちで試合に挑めています。自分が打てるのは打線の巡りが良いから。9人の中に良いバッターをうまいこと配置しているので、1人に打たせるという状態になっていません。だからチャンスが多く巡ってきている気がします」と今川はチームの打線を分析する。
平山も、先程の落合監督の言葉を受けてからは、「春に打てない状態で四番にいました。“四番だから”ということにこだわりすぎて、もちろん焦りました。ただ、自分1人で責任を抱え込まず、チーム全体で頑張ろうという考えに切り替えてからはポジティブにプレーができています」とルーキーでも実力を発揮しやすい空気づくりや声がけが、監督や先輩からあったと話す。
2人はそろって「都市対抗で打てないと意味がない」と言う。そのため、7月14日の初戦で前年覇者の大阪ガスと対決が決まったときは、うれしかったそうだ。
「1回戦を勝つために、ここまでやってきたわけではありません。日本一を獲るのが目標なので、先に強いチームと戦えることは光栄です」と気合十分。
社会人で積んだ経験が大きな力となっている若い2人。初めて挑む都市対抗で、この経験をどう生かすか。本戦でのさらなる飛躍が楽しみだ。
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文・写真=豊島若菜