中日の新クローザーであるR.マルティネスが初めて来日したのは2017年、19歳のときだ。すでにキューバ国内リーグの名門ベゲーロス・デ・ピナル・デル・リオでもクローザーとして頭角を現しはじめ、将来のキューバ代表を背負って立つ存在と期待されていた。そんな右腕のもとに舞い込んだ日本派遣は、寝耳に水の話だったという。
中日入団時の背番号は「211」。つまりは育成契約からのスタートで、1年目はウエスタン・リーグでも10試合の登板にとどまっている。193センチと上背はあって球速も出るが、まだ線が細く、技術的にも粗削り。ただし、陽気ながらまじめな性格の右腕は、毎日のトレーニングに励み、技術も貪欲に吸収していった。
翌18年4月に支配下昇格。一軍7試合(うち4試合が先発)のデビュー年をステップに、今季はオールスター前の7月10日時点で32試合に登板、交流戦直前にはクローザーに指名され、ここまで5セーブを挙げる働きを見せている。
日々のトレーニングで体は厚みを増し、下半身も安定。ファストボールの最速は158キロまで伸びたが、「マウンドに上がったらスピードは関係ありません。しっかりアウトを取ることだけ考えています」と浮ついたところもなく、頼もしい。まだ22歳の若者だが、
与田剛監督のクローザー抜擢もうなずける。
そんなR.マルティネスにインタビューを行った。来夏に迫った東京オリンピックのこと、クローザーとしての心得、スピードボールへのこだわり、将来の夢などを明かしてくれた。詳細は週刊ベースボール7月29日号(7月17日発売)にてぜひ、ご覧いただきたい。
ただし、後半戦のスタートにR.マルティネスの姿はない。キューバ代表としてペルーのリマで開催されるパンアメリカンに出場するためで、期間は7月16日から8月10日までの予定。中日は再来日まで投手起用に頭を悩ませることになりそうだが、国際大会を経たクローザーのさらなる成長を期待したいところ。
なお、R.マルティネスの今の夢は1つだけ。「ドラゴンズでチャンピオンになること」だという。
文=坂本 匠 写真=宮原和也