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ペナント折り返し地点での新人王の有力候補は?

 

プロ野球人生の中で一度しか受賞のチャンスが与えられないのが新人王(最優秀新人)だ。今シーズンも受賞資格を持つルーキーたちが激しく競い合っており、優勝争いだけでなくこちらのレースも目が離せないというファンは多いだろう。そこで今回は、折り返し地点を迎えた現時点での新人王の有力候補とその成績をまとめてみた。
※記事内の成績は2019年7月14日現在

セ・リーグの有力候補


 まずはセ・リーグの新人王争いをリードしている選手から見てみよう。


●村上宗隆(ヤクルト)

試合:84
打数:299
得点:40
安打:70
本塁打:20
打点:63
盗塁:3
犠打:0
犠飛:2
四球:40
死球:2
三振:103
打率:.234

 セ・リーグ新人王の最有力候補が、バレンティン離脱後のヤクルトで四番を任されている村上だ。リーグ4位となる20本塁打を放ち、打点は巨人坂本勇人と並んでトップタイ。打率は2割台前半だが、19歳とは思えない勝負強いバッティングを披露している。大きく調子を崩したり、村上を超えるインパクトを残す新人が現れたりしない限りは、新人王に選ばれる可能性は高いだろう。


●上茶谷大河(DeNA)

登板:14
勝利:5
敗北:3
セーブ:0
H:0
HP:0
完投:1
完封:1
投球回:83.1
被安打:81
被本塁打:6
与四球:27
与死球:3
奪三振:62
失点:35
防御率:3.46

 2019年ドラフト1位でDeNAに入団した上茶谷も、村上に次ぐ新人王候補。開幕を一軍で迎えた上茶谷は5月まで勝つことができなかったが、5月11日の広島戦で初勝利を手にするとそこから5連勝。球団の新人連勝記録に並んだ。最大11あったチームの借金をわずか47日で完済するのに、上茶谷の活躍が大きく貢献した。後半戦で球団記録を更新し、10勝に到達できれば新人王も夢ではない。

床田寛樹(広島)


●床田寛樹(広島)

登板:15
勝利:5
敗北:5
セーブ:0
H:0
HP:0
完投:1
完封:0
投球回:89
被安打:79
被本塁打:13
与四球:31
与死球:3
奪三振:67
失点:35
防御率:3.03

 2017年にドラフト3位で広島に入団した床田は、同年に開幕先発ローテション入りするも故障で戦線離脱。昨シーズンにようやく実戦復帰。開幕を一軍で迎えた今シーズンは、これまで5勝5敗の成績を残している。5月24日の巨人戦以降は勝ち星に恵まれておらず、DeNAの上茶谷に一歩リードされている状態だが、今後の広島投手陣の一角を担うサウスポーと目されているだけに、後半戦の巻き返しを期待したい。



●近本光司(阪神)

試合:83
打数:333
得点:47
安打:87
本塁打:6
打点:24
盗塁:19
犠打:10
犠飛:0
四球:21
死球:2
三振:67
打率:.261

 阪神の近本も新人王獲得が期待されている選手だ。入団1年目ながら一軍で開幕を迎え、4月12日からは阪神の不動の一番バッターとして君臨。打率は.261とリードオフマンとしては物足りないが、リーグ3位の盗塁数を誇る走力や、ここぞの場面での一発が期待できるのは近本の魅力だ。今後は持ち前の走力を生かしつつ、打率が向上すれば新人王のタイトルも見えてくるだろう。

 セ・リーグではこの4選手が現時点での有力候補。村上は本塁打や打点などのタイトルを獲得する可能性が大いにあり、仮にタイトルを獲得するようなら、新人王も間違いないだろう。一方、近年の新人王獲得投手に目を向けてみると、先発タイプでは「10勝」を挙げている選手が多い。村上の成績次第ではあるが、上茶谷や床田が10勝すれば新人王争いも面白くなるだろう。

パ・リーグの有力候補


 続いて、パ・リーグの有力候補をまとめてみた。


●高橋礼(ソフトバンク)

登板:13
勝利:8
敗北:2
セーブ:0
H:0
HP:0
完投:0
完封勝:0
投球回:81
被安打:65
被本塁打:6
与四球:29
与死球:4
奪三振:40
失点:30
防御率:3.11

 パ・リーグの新人王最有力がソフトバンクのアンダースロー投手・高橋礼だ。入団1年目の昨シーズンは新人最速で一軍昇格して12試合に登板。開幕先発ローテーション入りを果たした今シーズンは、これまで13試合に登板してチーム2位の8勝を挙げる活躍を見せている。特に西武戦は4戦4勝とめっぽう強いのが特徴だ。前半戦の活躍を見れば10勝は間違いないだろう。


●中川圭太(オリックス)

試合:61
打数:214
得点:21
安打:65
本塁打:1
打点:20
盗塁:6
犠打:3
犠飛:2
四球:11
死球:0
三振:28
打率:.304

 前半戦終盤で大きな活躍を見せ、新人王争いに食い込んできたオリックスの中川も見逃せない存在だ。4月20日の楽天戦で公式戦デビューした中川は、その後スタメンの座をつかみ、交流戦全18試合にも出場。そこで全球団トップとなる.386の打率を記録し、新人初の交流戦首位打者に輝いた。まだ規定打席には到達していないものの、3割をキープし続ければ新人王も夢ではない。

甲斐野央(ソフトバンク)


●甲斐野央(ソフトバンク)

登板:36
勝利:1
敗北:1
セーブ:7
H:14
HP:15
完投:0
完封勝:0
投球回:33.1
被安打:22
被本塁打:4
与四球:19
与死球:2
奪三振:41
失点:9
防御率:2.43

 2018年秋のドラフトで1位指名されたソフトバンクの甲斐野も、新人ながらチームに欠かせない存在だ。シーズン開幕戦に中継ぎで好投した甲斐野は、その後も起用に応え続け、ルーキーの連続無失点試合の日本記録を更新。まさに大車輪の活躍を見せている。ロッテ益田直也や元ソフトバンクの攝津正など、中継ぎで活躍して新人王を獲得した選手もおり、甲斐野も新人王になる可能性が大いにある。

榊原翼(オリックス)


●榊原翼(オリックス)

登板:12
勝利:3
敗北:4
セーブ:0
H:0
HP:0
完投:1
完封勝:0
投球回:76
被安打:60
被本塁打:5
与四球:35
与死球:2
奪三振:56
失点:26
防御率:2.72

 オリックスの榊原も、新人王獲得の可能性を感じさせるピッチャーだ。これまでに12試合に登板して3勝4敗とまずまずの成績だが、12試合中10試合がQS(クオリティースタート=先発で6回以上を投げて自責点3以下)と安定したピッチングが持ち味。打線の援護に恵まれずに勝ち星を逃しているが、肩痛から復帰し、後半戦で勝利を積み上げてくことができれば、新人王争いをリードできるだろう。

 パ・リーグの新人王候補を4人ピックアップしてみた。現時点での成績では、ソフトバンクの高橋が頭一つ抜けており、それに同僚の甲斐野が続く形だ。ただ、オリックスの中川は安定したバッティングだけでなくパワーも持ち味なので、後半戦で本塁打を量産する可能性もゼロではない。その場合は、一躍新人王最有力候補に躍り出るだろう。

 現時点では、セ・リーグはヤクルトの村上、パ・リーグはソフトバンクの高橋が最有力候補といえる。新人とは思えない傑出した成績を残しており、後半戦も順調なら新人王獲得は間違いないだろう。ただ、何が起こるかは分からないのが野球の面白さ。もしかすると、前半戦不調だったルーキーが、後半戦で巻き返すかもしれない。ペナントレースの行方だけでなく、新人王争いにもぜひ注目してもらいたい。

文=中田ボンベ@dcp 写真=BBM
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