週刊ベースボールONLINE

高校野球リポート

遠藤成[東海大相模]打って守って投げるSAGAMIの万能プレーヤー/神奈川注目プレーヤー

 

夢の甲子園切符をつかむため、一投一打に魂を込める。集大成の夏――。神奈川を熱くする注目選手から目が離せない。

東海大相模・遠藤成


遠藤成(えんどう・じょう)
内野手/176センチ76キロ/右投左打/3年

 昨春、遠藤成は主戦投手の1人だった。直前のセンバツでは1/3回のみの登板で終わったが、県大会では4戦中3戦で先発を担った。最速145キロのストレートとスライダーを武器とする遠藤は、打っても非凡なところを発揮。この大会、2本塁打9打点をマークしている。しかし、続く夏の大会は右手首骨折によりベンチ外。準々決勝で横浜に敗れた秋は、ケガの影響から三塁手で、今春は遊撃手として出場した。もっとも、完全に野手に転向したわけではなく、遠藤は「まだどちらでいくか決めかねています」と話す。

 それでも春の活躍は、打者・遠藤の将来性を示すに十二分だった。主将・井上恵輔が死球を受けた藤沢清流との準々決勝でも、二塁打を2本飛ばして3打点。特筆すべきは準決勝で放った3ランだ。鎌倉学園の好左腕・作野友哉(3年)のスライダーをうまくとらえると、打球はきれいな放物線を描いて右翼芝生席へ。遠藤も「高校に入って一番の当たり」と自画自賛する完璧な本塁打だった。

 冬場の練習の成果だ。チームでは例年12月のクリスマス時期に10日間の振り込み期間があるが、そこで遠藤は他の選手とともに1日2000本のスイングを行った。ただ数をこなすだけではない。スイングスピードを測定する器械を使い、130キロ以上でなければ1スイングとカウントされないため、1本1本がフルスイングになる。「2000本振り終わるとぐったりします」と遠藤。今も振り込みに余念がない遠藤の手の平にはごついタコがいくつも出来ている。ちなみに遠藤のスイングスピードの最速は156キロ。これは強打・相模の中でも一番の数値である。

 春は主将の井上が死球のアクシデントで大会途中に離脱。その後は副将の遠藤が主将を務めた。「僕の場合、張り切りと空回りしてしまう」と笑う遠藤。スマホには井上から「頑張り過ぎるな」とラインが届いたという。とはいえ遠藤は小、中では主将と、もともとリーダーシップがある。井上不在の準決勝からの2試合、自らのプレーでチームを引っ張った。

 投手か? それとも野手か? 選択はさておき、プロ注目の万能型選手が夏も、激戦区・神奈川の主役になるのは間違いない。

写真=BBM
週刊ベースボール編集部

週刊ベースボール編集部

週刊ベースボール編集部が今注目の選手、出来事をお届け

関連情報

みんなのコメント

  • 新着順
  • いいね順

新着 野球コラム

アクセス数ランキング

注目数ランキング