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大学日本代表を背中とプレーでけん引する森下暢仁。東京五輪の可能性は?

 

3年連続の代表選出


侍ジャパンのトップチームを率いる稲葉篤紀監督が7月13日、第43回日米大学選手権大会に出場する大学日本代表を激励した


 7月16日に開幕する「第43回日米大学選手権大会」(全5戦=松山、今治、山口、福島、神宮)に出場する大学日本代表チームは13日、4日間にわたる直前合宿を打ち上げた。

 第1戦が行われる松山への移動前、記者会見に応じた生田勉監督(亜大監督)は、チームの「大黒柱」として森下暢仁(明大4年・大分商高)を指名した。155キロ右腕はメンバー24人で唯一、2年時から3年連続での選出とキャリアにおいてNo.1である。

「経験実績とも十分。(6月の全日本大学選手権で)日本一になった明治でもキャプテンを務め、信頼感、存在感がある」

 実は指揮官は今代表でも、当初は森下に主将を任せる構想でいたという。しかし、うれしい誤算があった。6月21日、49人が集まった代表候補選考合宿初日のウォーミングアップ前に篠原涼(筑波大4年・敦賀気比高)が「僕に主将を任せてください!!」と、指揮官に直談判してきたのである。

 篠原は高校3年春のセンバツで主将として敦賀気比高を初優勝へ導き、U-18高校日本代表でもキャプテンを任された。当時のチームを率いた西谷浩一監督(大阪桐蔭高監督)からも全幅の信頼を受けていた有能な人物だ。

 篠原は合宿3日間、全国から集まった選手たちを抜群のリーダーシップで束ねた。例年はお互いが遠慮しがちなのだが、今年はそんなムードとはまったく無縁。代表メンバー入りをかけた競争の場ながらも、活気のある空気を作り上げていた。好打好守の内野手としても生田監督からの高い評価を得て、大学では初の代表入りを果たしたのである。

 チームの精神的支柱は篠原、そして、プレーと背中でけん引するのが森下。生田監督は「バランスの良いチーム。本当の家族のようだ」と、チーム結成4日目にして手応えを語った。

 7月16日、第1戦の先発は森下。昨年に続く開幕投手の大役に「うれしいこと。自分が投げてチームに流れがくるように、1球1球に魂を込めていきたい」と気合十分である。

「トータル的に完成されている」


 13日は法大OBで、自身も日米大学選手権に出場している侍ジャパントップチームを率いる稲葉篤紀監督が激励に訪れた。記者が囲んでの取材の話題は、注目度トップである森下に及んだ。すでに映像等で、ピッチングはチェック済。稲葉監督はこう評価している。

「トータル的に完成されている。あのスピード。今の自分のレベルの中で、アメリカ打線にどれだけ通用するのか、本人も楽しみにしていると思う。ジャパンで自分の力を発揮できるのか――。しっかり、今後の成長につなげてもらいたい。(いずれは)『トップチームでやりたい』という目標を持ってくれたらありがたいです」

 来年は勝負の自国開催の東京オリンピック。当然、森下も候補選手の一人であるという。稲葉監督は言葉を選びながら話す。

「プロの選手でも(選びたい選手は)たくさんいる。若い選手の勢いも大事。(選考は)来年になってみないと分からない。広い目で見ていていきたいと思います」

 稲葉監督からの激励を受けて、森下は「自分たちは結果で見せつけないといけない」と決意を新たにした。森下は大分商高3年時に主将・篠原とともにU-18においても侍ジャパンのユニフォームを着て、W杯の銀メダル奪取に貢献。各カテゴリーを経験した森下には、将来的にトップチームのエースに駆け上がるだけのポテンシャルと、人間力がある。

文=岡本朋祐 写真=BBM
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