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夏の甲子園名勝負

“平成の怪物”松坂、延長17回の激投/夏の甲子園名勝負

 

いよいよ第101回大会を迎える夏の高校野球。1915年、つまり大正4年に始まり、昭和、平成という時代を経て、この夏が令和最初の大会でもある。昨夏、平成最後の大会となった100回までの長い歴史の中で繰り広げられた名勝負の数々を、あらためて振り返ってみる。

クセを見抜いた平石


98年夏の甲子園準々決勝で延長17回を投げ抜いた松坂


 1998年のセンバツを制した横浜(東神奈川)。エースは“平成の怪物”松坂大輔(現・中日)だ。そのセンバツの準決勝で対決したのがPL学園(南大阪)だった。このときは、PL学園が7回まで2対0とリードしながらも8回に同点とされ、9回に逆転されて惜敗。PL学園は打倒・横浜、そして打倒・松坂の思いを胸に、夏の聖地へと帰ってきていた。横浜も史上5校目の春夏連覇を懸けて臨む大舞台。そして迎えた夏の第80回大会、準々決勝で、ふたたび両雄は激突する。

 横浜の先発は、もちろん松坂。一方のPL学園はエースの上重聡ではなく、センバツで横浜を8回まで無失点に抑えた左腕の稲田学が先発のマウンドに上がった。

 先制したのは、またしてもPL学園だった。2回裏、九番の松丸文政が適時二塁打を放つなど、3点を奪う。PL学園の主将で、三塁コーチャーの平石洋介(現・楽天監督)が松坂とバッテリーを組む小山良男(のち中日)の捕球体勢のクセから球種を見抜いていたことも、松坂の攻略を後押ししていた。

 一方の横浜も4回表に小山の2ランで逆転を開始。だが、その裏にはPL学園も、またしても松丸からの3連打で1点を加える。横浜も続く5回表に3連打で2点。試合は振り出しに戻った。7回表、PL学園はエースの上重をマウンドへ送る。前日からリリーフは言われていたというが、ここから1試合分を超えるイニングを投げることになるとは思っていなかったという。このころには、立ち上がりに苦しんでいた松坂も本来の投球を見せ始めていた。

 7回裏にPL学園が1点、続く8回表には横浜も1点を奪って2度目の同点。試合は延長戦に突入していく。

勝者の涙、敗者の笑顔


 延長11回表、先頭で四番の松坂が左安打で出塁すると、五番の小山が送り、六番の柴武志が適時打を放って横浜が勝ち越したが、その裏にはPL学園も先頭の平石が左安打を放つと、犠打と適時打で3度目の同点に追いつく。

 だが、延長に入ってからエンジンがフル回転を始めた松坂は、12回裏から4イニング連続で三者凡退。しかし、16回表に横浜が満塁からの遊ゴロで1点を勝ち越すも、その裏には松坂の暴投もあり4度目の同点に。引き分け再試合の可能性も見えてきた17回表二死一塁から、七番の常盤良太が上重の初球を振り抜くと、右翼席への2ランに。その裏、松坂は三者凡退に斬って取り、横浜がセンバツに続いてPL学園を破った。

 その17回裏に150キロを超えるストレートを投げ込んだ松坂も、ゲームセットの瞬間、さすがに疲れ果てたような溜め息をついた。松坂が投じた球は全250球、朝の8時30分にプレーボールとなった試合は、昼の12時7分にゲームセット。勝者である横浜ナインには涙が見られたが、敗者であるPL学園ナインからは笑顔もこぼれていた。


1998年 第80回大会 準々決勝
第15日 第1試合

横浜   000 220 010 010 000 12 9
PL学園 030 100 100 010 000 10 7
(延長17回)

[勝]松坂
[敗]上重
[本塁打]
(横浜)小山、常盤

写真=BBM

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週刊ベースボール編集部

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