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夏の甲子園名勝負

斎藤vs.田中! 両エース譲らず37年ぶり決勝引き分け再試合へ/夏の甲子園名勝負

 

いよいよ第101回大会を迎える夏の高校野球。1915年、つまり大正4年に始まり、昭和、平成という時代を経て、この夏が令和最初の大会でもある。昨夏、平成最後の大会となった100回までの長い歴史の中で繰り広げられた名勝負の数々を、あらためて振り返ってみる。

社会現象を起こした“ハンカチ王子”


延長15回引き分けとなった決勝戦のマウンド上、斎藤はハンドタオルで汗を拭く


 73年ぶりとなる夏の3連覇という大偉業か、第1回大会から参加する古豪の夏は初めてとなる全国制覇か。2006年の夏、決勝が行われた8月20日の甲子園球場へ詰めかけた5万人の大観衆は、そのどちらの証言者にもなれないまま、球場を後にすることになる。駒大苫小牧と早実の決勝は延長15回の末、ついに決着がつかなかった。駒大苫小牧は田中将大(現・ヤンキース)、一方の早実は斎藤佑樹(現・日本ハム)。両エースが譲らず、球史に残る壮絶な投手戦を繰り広げたからだ。

 苦闘の末、3年連続で決勝進出を果たした駒大苫小牧。甲子園に入ってから胃腸炎を発症したことで本調子ではなかった田中は、初戦の2回戦で南陽工に7安打3失点、6四球と大乱調で、打線の援護もあって、なんとか完投勝利を収める。続く3回戦では先発マウンドを譲り、最後は青森山田にサヨナラ勝ち。準々決勝では田中が東洋大姫路に4点のリードを許したものの後半戦に入って打線が逆転した。準々決勝も智弁和歌山に先制されたが、すぐに逆転。最後は田中のリリーフで締めくくり、大偉業への挑戦権を獲得した。

 一方、ほぼ1人で投げ抜いたのが早実の斎藤。早実は荒木大輔(のちヤクルトほか)を擁して以来26年ぶりの決勝進出で、斎藤は端正なマスクと青いハンドタオルで汗をぬぐうマウンド上の姿で“ハンカチ王子”と人気を集めた。

 そして迎えた決勝戦。早実は斎藤、駒大苫小牧は菊池翔太が先発した。3回裏、早実が菊池を一死一、二塁と攻めたところで田中がリリーフ。連続三振で好機を逃したが、その後も4回裏から7回裏まで4イニングで4安打と攻め立てる。斎藤も1回表、先頭の三谷忠央に右安打を浴びたのみで、ともにゼロ行進で7回を終えた。

 そして8回表、ついに均衡が破られる。一死から二番の三木悠也が先制ソロ。だが、その裏には早実も一死から三番の桧垣皓次朗が二塁打、中継が乱れる間に三振し、四番の後藤貴司が犠飛を放って、すかさず同点に。試合は振り出しに戻された。

ピンチでも乱れない両エースのプライド


 9回も互いに無得点。延長戦に入ってからも熾烈な攻防は続いた。11回表には駒大苫小牧が一死満塁からスクイズ失敗。13回裏には早実も二死満塁のチャンスを生かせなかった。15回表には斎藤が球速147キロを記録して驚異のスタミナを見せれば、その裏には田中が2奪三振と貫録の投球。決勝の引き分け再試合は37年ぶりとなった。


2006年(平成18年)
第88回大会・決勝
第15日

駒大苫小牧 000 000 010 000 000 1
早実    000 000 010 000 000 1
(延長15回引き分け再試合)

[本塁打]
(駒大苫小牧)三木

写真=BBM
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