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夏の甲子園名勝負

37年ぶり決勝引き分け再試合は斎藤の完投で決着/夏の甲子園名勝負

 

いよいよ第101回大会を迎える夏の高校野球。1915年、つまり大正4年に始まり、昭和、平成という時代を経て、この夏が令和最初の大会でもある。昨夏、平成最後の大会となった100回までの長い歴史の中で繰り広げられた名勝負の数々を、あらためて振り返ってみる。

1回裏に早くも田中がリリーフ


決勝再試合で力投する早実の斎藤


 1969年、アイドル的な人気を誇った三沢の太田幸司(のち近鉄ほか)、松山商の井上明が延長18回を投げ合って以来37年ぶりの決勝引き分け再試合となった2006年の夏。史上2校目、73年ぶりとなる夏の3連覇という大偉業に挑む駒大苫小牧と、夏の初優勝が懸かった早実との決勝戦だ。時代は流れ、規定は延長18回から15回までと改められたが、死闘であることには変わりはない。これが決勝という頂上決戦だから、なおさらだ。

 前日15イニング、178球を投げた斎藤佑樹(現・日本ハム)が早実の先発マウンドに上がる。斎藤は前日の勢いのまま、1回表を三者凡退。対する駒大苫小牧は、前日と同様、2年生の菊池翔太が先発した。だが、2安打2四球で1点を許して1イニングもたず、早くもエースの田中将大(現・ヤンキース)に交代。壮絶な投手戦、言い換えれば膠着状態が長かった前日とは打って変わって、初回から試合は動いた。

 田中は六番の斎藤を左直に打ち取って窮地を脱したが、2回表も斎藤が三者凡退に抑えると、その裏に早実は1点を追加する。3回は両エースとも三者凡退。4回表には二死から斎藤が初めて安打を許し、その裏には田中も一死から失策、安打でピンチに陥るも、ともに後続を断つ。5回表には斎藤が2安打を許したが、その裏は田中が三者凡退。ともに互角といえる投げ合いが続く。

 そして6回表、先頭で一番打者の三谷忠央がソロ本塁打を放って、ようやく駒大苫小牧が1点を返した。だが、その裏には二死から八番で斎藤とバッテリーを組む白川瑛聖が左翼フェンスを直撃する適時二塁打で3点目、7回表を斎藤が三者凡退に斬って取ると、その裏には先頭の川西啓介が死球で出塁、続く二番の小柳竜巳が当時の大会タイ記録となる8個目の犠打で送り、二死から四番の後藤貴司が適時打を放って4点目。これで早実が駒大苫小牧を突き放したかに見えた。

最後は投手の斎藤vs.打者の田中


最後は斎藤が田中を三振に仕留めた


 8回は再び両エースが三者凡退。だが9回表、駒大苫小牧が意地を見せる。先頭で二番の三木悠也が左安打を放つと、続く三番の中沢竜也が2ラン本塁打。ついに1点差まで詰め寄った。斎藤も気迫の投球を続ける。三振、二飛で二死とすると、打席には田中が入った。

 斎藤は118球目、2試合で296球目となる144キロの直球で田中を空振り三振に仕留める。早実が夏の初優勝を決めた。斎藤は決勝2試合連続完投。合計24イニング、試合時間5時間33分の死闘は、ここに完結した。


2006年(平成18年)
第88回大会・決勝再試合
第16日

駒大苫小牧 000 001 002 3
早実    110 001 10X 4

[勝]斎藤
[敗]菊池
[本塁打]
(駒大苫小牧)三谷、中沢

写真=BBM
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