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編集部員コラム「Every Day BASEBALL」

広島を上昇気流に乗せたルーキー小園海斗

 

小園海斗のたたずまいには、何ともいえず大物感が漂う


 カープの狙いは、ズバリ当たった。反攻の起爆剤としてオールスター明けから投入した黄金ルーキーの小園海斗が力を発揮し、チームも球宴休み明けから10勝2敗のハイペース(7月29日現在9連勝中)、7月16日の時点で最大12ゲームあった首位・巨人との差はアッという間に5ゲームに。もちろん30日からの巨人3連戦の勝敗がどう出るかが大きいポイントにはなるが、逆転優勝が夢ではない位置に、カープは戻ってきたと言っていいだろう。

 停滞していたチームのムードを上昇させるのに、大きな働きをしているのが、球宴休み明けからショートのスタメンで起用されている小園海斗だ。起用当初は7月16日のDeNA戦(横浜)で2安打した以外はノーヒットの日が続いたが、21日の巨人戦(マツダ広島)から4試合連続ヒットを放つと、26日のヤクルト戦(神宮)ではプロ1号を含む4安打、28日の同戦ではプロ2号を含む3安打で、通算打率も一気に3割に乗せてきた。

 打順は、現状、基本的には八番で、捕手で石原慶幸が先発の日には七番に上がるという感じだが、小園が爆発した26日、28日にはいずれもチームは12得点と、「小園が打てば打線全体がつながって大爆発」という形が続いており、チーム全体にとっても大きなカギを握る存在になってきたのは間違いない。

 前回のこのコラムでも書いたとおり、打撃についてはこれまで、トップのタイミングのばらつきが課題だったので、一軍でもこのままある程度の数字を残していく可能性は十分あるとみる。結果が出て、気持ちに余裕が出てくれば、自然にそこがいい形で固まってくる可能性は少なくないからだ。もちろん、まだまだ一軍の一線級の先発投手や勝ちパターンで出てくるリリーフ投手にはあっさり凡退させられるケースも多く、今後も山あり谷ありではあろうが、残り試合をスタメンで走り切ってくれる可能性も、十分に感じられるようになってきた。

 もう一つのポイントは、球宴前の一軍登録時に課題として浮上した守備だろう。前回このコラムで書いた「サードで起用も?」の予想は外れてしまったが、回り道することなくショートで出続けているのだから、むしろこちらの予想以上の頑張りだ。一軍再登録後は、少なくとも内野人工芝の横浜や神宮では伸び伸びといい動きを見せており、何の不安もない感じになってきた。あとは、本拠地マツダ広島の内野天然芝のグラウンドにどう慣れていくか。ポテンシャルの高い小園のことなので、これは時間と経験が徐々に解決してくれることになるとは思うが……。

 そして、小園の場合、何といっても楽しみなのは、そのスケール感だ。「残り三塁打が出ればサイクルヒット」となった26日のヤクルト戦で、9回二死から回ってきた打席で左翼線に長打、ボールが外野からバックホームされた間に二塁ベースを回って三塁に向かいかけたが、躊躇(ちゅうちょ)したところをホームからの返球で挟まれてタッチアウトとなった場面があった。それでも試合後は「行っとけば良かった」と笑顔で言えるあたりが、やはり並の高卒ルーキーとはちょっと違うところ。もちろん、2失策をした日には涙を見せるなど、いつも笑ってばかりいるわけではないが、空振り三振に打ち取られてもやはり笑顔で次のプレーに向かっていく様には、何ともいえず大物感が漂う。

 いずれにしてもこの小園のフレッシュなパワーが、カープの急上昇ムードの大きな要因になっていることは疑いがない。もしカープの逆転4連覇がなるようなら、小園はそのきっかけを作った男として、記憶されることになるだろう。

文=藤本泰祐 写真=BBM

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