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球界デキゴトロジー/7月31日

門田博光がプロ野球記録の月間16本塁打!(1981年7月31日)

 

右翼席に打球を叩き込み門田はバンザイ


 プロ野球の歴史の中から、日付にこだわってその日に何があったのか紹介していく。今回は1981年7月31日だ。

 この年の7月、南海の門田博光に“本塁打が出なかったこと”も記事になった。それほどすさまじい勢いで、打ちまくったからだ。

 まず、7月1日ダブルヘッダーの近鉄第1戦で6月16日以来となる12号本塁打。ここから7日の西武戦まで5試合連続、計7本塁打を放っている。8日はノーヒットに終わったが、翌9日から12日のロッテ戦ダブルまで、また5試合連続。年間2回の5試合連続本塁打は73年の王貞治巨人)以来だったが、王は6、8月の2カ月。1カ月に2回は初めてだった。

 しかし、その後、投手が警戒し、なかなかストライクで勝負してくれない。知らず知らず、フォームが崩れ、当たりも止まった。14号が出た17日以降、21日まで3試合でヒット1本のみ。それでも「いつもどおりでいいと開き直った」22日の日本ハム戦で間柴茂有から15本目。月間15本はプロ野球記録で、70年6月と73年8月の王、72年5月の大杉勝男(東映)、72年9月の長池徳二(阪急)、78年4月のギャレット広島)、79年5月のマニエル(近鉄)が達成していた。ただ、24日からはオールスターで中断。新記録の16本目に向け、残るチャンスは31日、西武戦(大阪)だけになった。

 その日、西武のマウンドには8日に6試合連続本塁打のタイ記録をストップさせた左腕の杉本正が立った。ここまで21打数3安打と苦手にしていた相手。しかも試合前にはフリー打撃で打球を右足に当てるアクシデントもあったが、門田は「まったくプレッシャーがなかった」と言う。

 決めたのは第2打席、3回裏無死満塁だった。1-1からの3球目が、「カーブと読んだ」門田の予測とピタリと合った。甘く入ってきたところを強振するとライトスタンドへ一直線。月間16本塁打の日本記録だ。

「痛みがあった右足をかばった分、左足に体重が残り、カーブをうまく打てたのもあった」と門田。照れ屋で、普段はあまり感情をあらわにしない男が、観客に大きく手を上げて喜びを表し、記者たちに「これで僕の名刺ができた」と笑顔で言った。

写真=BBM
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