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パ・リーグ6球団“新戦力”補強事情は?

 

2019年シーズンの補強期限が7月31日で終了した。上位進出のために各球団は新外国人、トレード、育成からの昇格などで弱点をカバーする戦力を積極補強。ここではパ・リーグ6球団のシーズン開幕以降の“新戦力”を整理してみた(記録は8月5日現在)。

福岡ソフトバンクホークス



【新外国人】
C.スチュワート・ジュニア投手

【支配下昇格】
O.コラス外野手

 主力陣にケガ人が相次いだが、若手選手の台頭もあって積極的な補強には動かず。とはいえ、C.スチュワート・ジュニアの加入は日米球界に衝撃を与えた。昨年のメジャー・リーグのドラフトで一巡目(全体の8位)指名を受けた逸材右腕は現在、ファームで汗を流し、すでに三軍戦デビューも果たしている。じっくり育てる方針のため一軍昇格を焦る必要はまったくないが、球界屈指の育成力を誇るチームでどのような成長曲線を描くか楽しみだ。ファームで5月度のウエスタン月間MVPを獲得するなど2017年の入団から着実に力をつけたO.コラスに関しては、Y.グラシアルがキューバ代表に招集されている間の代替戦力として期待がかかっていただけに、右ヒザを痛めてのリハビリ組は少し誤算だった。

北海道日本ハムファイターズ



【トレード】
吉川光夫投手
宇佐見真吾捕手

 打倒ホークスに向けて、吉村浩GMを中心にしたフロントが動いた。エースの上沢直之が交流戦期間中にケガで今シーズン絶望となり、捕手も清水優心石川亮がリード面も含めて正捕手を担うまでには至らず、劇薬として2016年オフに巨人にトレードした吉川光夫が異例の古巣復帰、さらに巨大戦力の中でくすぶっていた打力に定評のある宇佐美真吾を、鍵谷陽平藤岡貴裕を放出して獲得した。吉川は巨人では主に中継ぎを務めていたが、日本ハム復帰後は先発で起用。ここまで2試合に投げてまだ勝ち星こそついていないが、チームに手薄なサウスポーだけに今後もキーマンの1人になりそう。一方の宇佐見は自慢の打力で出場機会を増やしており、正捕手の筆頭候補だった清水にも大きな刺激を与える存在となっている。日本ハムらしい既成概念にとらわれない補強を慣行し、3年ぶりの覇権奪回を目指していく。

埼玉西武ライオンズ


【支配下昇格】
齊藤誠人捕手

 昨年は積極的に動いた。開幕直前に先発左腕不足を解消するために阪神から榎田大樹をトレードで獲得。シーズン中もリリーフ陣が破綻をきたすと5月上旬にヒース、さらに7月下旬にマーティン小川龍也を加えた。新加入選手たちは持ち場で力を発揮。10年ぶり優勝への原動力となった。今年は一転、6月下旬に捕手の齊藤誠人を育氏から支配下に昇格させた以外は動きはなし。今年も投手陣に苦しんでいたが、渡辺久信GMは「一軍ですぐにアジャストできる投手が見当たらなかった」と説明。若手の成長などでシーズンを乗り切ろうとしているが、現状は苦しい戦いが続いている。

東北楽天ゴールデンイーグルス



【トレード】
下水流昂外野手
和田恋外野手

【支配下昇格】
由規投手
寺岡寛治投手
ルシアノ・フェルナンド外野手

 楽天がトレードによる戦力補強に動いたのが7月。4日に三好匠を放出して広島・下水流昂を獲得し、さらに8日には古川侑利を放出して巨人・和田恋を獲得した。平石洋介監督は下水流について「ウチには少ない右バッター。外野争いに加わってもらいたい」と語り、和田については「若くて、いいバッティングをしているイメージ」と期待。茂木栄五郎島内宏明銀次と左の好打者が多い打線の中で、良いアクセントとなるか。さらに育成から支配下に昇格したのは由規と寺岡寛治の2投手と、フェルナンド外野手の3人。由規は地元・仙台での復帰登板が期待され、寺岡はすでに中継ぎとしてプロ初登板を果たした。フェルナンドは持ち前のパンチ力で外野の定位置争いに乗り込む。

千葉ロッテマリーンズ


ロッテ・マーティン


【トレード】
石崎剛投手

【新外国人】
マーティン外野手

 リーグ優勝はともかくAクラス入りはまだ射程圏内。支配下登録70人目を早々と埋める新外国人マーティンの緊急補強はチームの本気度の表れだ。そのマーティンはさっそく右翼で華麗な守備と鉄砲肩を披露すると、二番に収まり10試合で打率.318、3本塁打、11打点とバットでも快音を響かせている。好調を保つ鈴木大地を二番から三番に回すことができ、上位打線の迫力はさらに増した。強いボールで勝負できる投手が不足していたリリーフ陣には、トレードで変則右腕の石崎剛を加えている。先発陣の踏ん張り次第で、十分に上位追撃が可能な態勢を整えた。

オリックス・バファローズ


オリックス松井佑介、モヤ、松井雅人(左から)


【トレード】
松井佑介外野手
モヤ外野手
松井雅人捕手

【支配下昇格】
張奕投手
本田仁海投手
神戸文也投手

 不測の事態を着実に補ってきた。4月末から救援陣が故障&離脱でコマ不足となると、二軍からの「一番良い」という情報をもとに張奕を5月1日に支配下登録。結果は残せなかったが同16日に一軍登板と即起用した。今度は打線復調のメドが立たないと見るや、7月3日に中日からモヤを金銭トレードで獲得。さらにパンチ力のある右打者・松井佑介、伏見寅威の故障離脱を補うべく松井雅人を、松葉貴大武田健吾との2対2のトレードで招き入れた。同時に来季以降に向けても準備。本田仁海、神戸文也の2投手を支配下登録し、若手の成長にも期待を寄せる。

写真=BBM
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