週刊ベースボールONLINE

週べ60周年記念

審判トラブル続出?/週ベ回顧

 

 昨年、創刊60周年を迎えた『週刊ベースボール』。現在、(平日だけ)1日に1冊ずつバックナンバーを紹介する連載を進行中。いつまで続くかは担当者の健康と気力、さらには読者の皆さんの反応次第。できれば末永くお付き合いいただきたい。

仏のゴローはやっぱり優しい


表紙は巨人王貞治


 今回は『1968年5月20日号』。定価は60円。

 週刊ベース創刊10周年記念で「戦後最大のプレーヤー」のアンケートがあり、この号で結果が発表された。上位3人は以下。
1位・長嶋茂雄(巨人)6万2850票、2位・金田正一(巨人)1万3525票、3位・王貞治(巨人)1万3450票。
 抽選の様子の写真もあったが、なかなか大がかりだ。

 ウエスタンの話だが、4月25日、平和台の西鉄─中日戦で、三塁でのアウト、セーフのジャッジで中日側が抗議。そのまま選手を引き揚げさせ、ウエスタン初の放棄試合となった。

 ウエスタン・リーグは、三塁塁審を小突いた中日の本多コーチに出場停止2カ月、杉山コーチには出場停止1週間の処置を取っている。

 一軍でも同じく平和台で放棄試合になるかもしれない試合があった。
 5月3日の西鉄─南海戦だ。

 西鉄・与田順欣がボールの判定に怒り、ホームベースに詰め寄ったが、もちろん判定は変わらず。
 あきらめてマウンドに戻りかけた際、振り向くと、田川球審がホームベースの砂をはらっていた。これで「タイムと思った」与田が肩慣らしとセカンドの基にポンと球を投げた。
 やばいと思ったのだろう、基は球を捕る際、タイムを要求した。

 ここで南海側からアピールがあって「インプレー中」としてボークの判定。怒ったのが、西鉄・中西太監督。「ホームプレートをはらっていたのだから背中を向けていた与田がタイムと思っても仕方ない。それに基がタイムを要求したじゃないか」。

 対して審判は「タイムをかけずにホームをはらうことはよくある。基のタイムは認めていない」と突っぱね、抗議は1時間11分に及んだ。
 中西監督は相手の鶴岡一人監督には「すんませんが、納得するまでやります」と言ったらしいが、説明する中なら客席にもしたほうがよかった。
 ファンが空き瓶を次々投げ込み、乱入者も続出する騒ぎとなった。

 中西監督は放棄試合も覚悟していたようだが、オーナー直々の再開指令にしぶしぶ応じた。

 審判絡みでは4月29日の阪神─大洋戦(甲子園)で珍事件があった。
 投手は大洋・池田重喜、打者は阪神・遠井吾郎。2−2からボール球1つで、なぜか「フォアボール!」の宣告。ここで「得した」と、すたすた一塁に行けばいいのに、遠井は一度、審判の顔をまじまじと見た。
 しかし、この審判、追い打ちのように「フォアボール!」と叫ぶ。
 結果、首をひねりながら一塁に向かった遠井。大洋もなぜかこれに抗議しなかったが、記者席、公式記録員は大騒ぎになったという。

 試合後の遠井の言葉がいい。
「やっぱり主審の間違いだったんだ。それにしても大洋の池田投手は気の毒だったよ」
 さすが仏の吾郎だ。
 
 では、またあした。
 
<次回に続く>

写真=BBM
週刊ベースボール編集部

週刊ベースボール編集部

週刊ベースボール編集部が今注目の選手、出来事をお届け

関連情報

みんなのコメント

  • 新着順
  • いいね順

新着 野球コラム

アクセス数ランキング

注目数ランキング