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夏の甲子園名勝負

興南が逆転勝利で沖縄県勢の夏初優勝に王手!/夏の甲子園名勝負

 

いよいよ第101回大会を迎える夏の高校野球。1915年、つまり大正4年に始まり、昭和、平成という時代を経て、この夏が令和最初の大会でもある。昨夏、平成最後の大会となった100回までの長い歴史の中で繰り広げられた名勝負の数々を、あらためて振り返ってみる。

序盤から報徳学園が猛攻


2回までに5点を奪われた興南のエース・島袋だったが、その後は9回までゼロに抑えた


 最北の都道府県でもある北海道に初めて深紅の優勝旗が翻ったのは2004年の夏、第86回大会でのこと。一方、最南端の沖縄県は、春こそ1999年に沖縄尚学が初優勝、2008年にも沖縄尚学が頂点に立ち、2年後の10年には興南が初優勝を飾るなど結果を残してきたが、夏は90年から沖縄水産が2年連続で準優勝にとどまったのを最後に、興南がセンバツを制した10年までは決勝にコマを進めることすらなかった。

 その10年の夏、第92回大会。興南は春に続いて決勝進出を果たすと、13対1と東海大相模を圧倒して、初めて沖縄に優勝旗を持ち帰ることになる。

 興南は初戦からセンバツ王者の貫録を見せる戦いぶりだった。1回戦から打線は9得点と爆発し、投げてはエースの島袋洋奨(現・ソフトバンク)が鳴門を完封。島袋は2回戦でも明徳義塾から完投勝利を収め、打線も8得点と島袋を援護した。3回戦では序盤から打線が火を噴き、島袋は2回表のソロ本塁打による1点のみに抑えて3連続完投勝利。聖光学院との準々決勝では2回表に3点を先制されるも、そこから打線が10点を奪って快勝する。決勝は4回裏の一挙7点で早々に試合を決定づける一方的な展開。この大会で唯一のピンチといえるのが準決勝だった。

 対する報徳学園は夏2年ぶりの出場。13点を奪った3回戦を除き、接戦を制して準決勝までコマを進めてきた。迎えた準決勝の1回表、先頭から2連打を許すも併殺で後続を断ち、無失点でピンチを切り抜けたことで勢いを得たのか、その裏に1点を先制すると、2回裏には2四球もあって一挙4点を追加して、試合の主導権を握る。

 いきなり劣勢に立たされた興南だったが、春の覇者が試合をあきらめることはなかった。61年の初出場、その1回戦で6点差を跳ね返して以来、数々の逆転劇で“逆転の報徳”の異名を取る報徳学園。そんな古豪のお株を奪う逆転劇が始まった。

中盤からは興南ペースに


 3回、4回と両チーム無得点。ふたたび試合が動き出したのは5回表だった。先頭で八番の島袋が中安打で出塁すると、敵失を挟んで2連打で3点。6回表には二死から島袋の適時打で1点を返し、ついに1点差に詰め寄った。

 そして7回表、中安打と犠打で一死二塁としたところで、三番の我如古盛次が適時三塁打を放って同点、続く四番の真栄平大輝が中安打で逆転に成功する。島袋も8回裏を3連続三振に斬って取るなど完全に復調。12奪三振、159球の完投勝利を飾った。

 沖縄県勢で初めて夏を制した興南。もちろん沖縄県勢にとって初の春夏連覇でもあった。


2010年(平成22年)
第92回大会・準決勝
第14日 第1試合

興南   000 031 200 6
報徳学園 140 000 000 5

[勝]島袋
[敗]大西

写真=BBM
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