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編集部員コラム「Every Day BASEBALL」

史上3位タイの23イニング連続奪三振をマークしたロッテ・種市篤暉の成長曲線

 

チームトップタイの6勝目を挙げた20歳の種市


 一足飛びに成長の階段を駆け上がっている。ロッテの未来のエース候補に名乗りを上げた種市篤暉だ。今季は中継ぎからのスタートだったが、4月29日の楽天戦(楽天生命パーク)で今季初先発のチャンスを得ると、5回を6安打2失点にまとめてプロ初勝利。以降は先発ローテを守り続けている。

 リリーフとして右腕を振っていた序盤戦、「中継ぎでもやりがいや楽しさを感じている」と話しながら、「先発で勝ちたいと思ってオフを過ごしてきたし、やっぱり先発で勝ちたいなと思います」と、先発への強いこだわりを口にしていた。

 高卒2年目だった昨季は8月にいきなり一軍で先発に抜てきされ、先発ローテに組み込まれた。井口資仁監督による将来への布石、経験を積ませる意味合いが強かったことは間違いない。だが、計7試合に先発して0勝4敗、防御率は6.10。期待に応えられたとはいえず、だからこそ今季に懸ける思いはさらに強くなっていた。

「ガンガン押すスタイルでやっています」というように、投球スタイルは見ていて爽快。全体の6割を超えるMAX153キロのストレートを軸に、時にスライダーで目先を変えながら、フィニッシュブローは必殺のフォーク。6勝目を挙げた8月4日の楽天戦(楽天生命パーク)では7回10奪三振で無失点。6回まで毎回三振を奪い、連続イニング奪三振は史上3位タイの23イニングまで伸びた。奪三振率は先発としては極めて高い10.13をマークしている。

 だが、この試合で大きな収穫だったのは、7回まで129球を投げ切ったということだろう。7回を投げたのは、123球で1失点にまとめて4勝目を手にした6月13日のDeNA戦(ZOZOマリン)に続き自身2度目。「先発としては投げる体力がちょっと足りないかなと。先発としてのスタミナが一番の課題です」と言っていた種市にとっては、確かな自信につながるピッチングだったはずだ。

 試合後には「出来過ぎだと思います」と笑ったが、「次は1人で投げ切りたい」と言葉を続けた。指揮官も「(今は)チームの中で一番いい」と信頼を隠さなくなっている。先発ローテの中心となりつつある20歳の右腕の成長曲線は、右肩上がりで上昇していきそうだ。

文=杉浦多夢 写真=BBM
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