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夏の甲子園名勝負

広陵の中村奨成が大会6本塁打&17打点の新記録ラッシュ!/夏の甲子園名勝負

 

いよいよ第101回大会を迎える夏の高校野球。1915年、つまり大正4年に始まり、昭和、平成という時代を経て、この夏が令和最初の大会でもある。昨夏、平成最後の大会となった100回までの長い歴史の中で繰り広げられた名勝負の数々を、あらためて振り返ってみる。

5回表の同点本塁打が新記録6号に


1点差を王5回に同点ソロを放った広陵・中村。大会6本目で新記録となった


 さかのぼること2年前、まだまだ記憶に新しい2017年の夏、第99回大会。この大会における最大の注目株は、広陵の中村奨成(現・広島)だった。俊足、強肩も光るが、何よりも強打を誇る高校No.1捕手。その打棒は初戦から炸裂した。

 いきなり中京大中京との1回戦で2本塁打を放つと、秀岳館との2回戦、聖光学院との3回戦と2試合連続本塁打。さすがに仙台育英との準々決勝では本塁打こそなかったが、1回表から二塁打を放つなど、打線の起爆剤となった。そして迎えた天理との準決勝は、新記録ラッシュとなる。

 同様に卓越した強力打線を誇るのが天理だ。大垣日大との初戦の2回戦では四番の“天理のバレンティンヤクルト)”神野太樹が2打席連続ソロ本塁打。神戸国際大付との3回戦こそ1点を争う接戦となり、試合は延長11回までもつれ込んだが、明豊との準々決勝では1回表から安原健人、山口乃義が2者連続本塁打、山口は6回にもソロ本塁打を放って、毎回20安打の猛攻で乱打戦を制した。ともに打撃が勢いに乗る広陵と天理の激突は、ノーガードの打ち合いとなる。

 両チーム38安打、4本塁打が飛び交う乱打戦。その1発目を打ち上げたのは、やはり中村だった。1回表一死二塁から三番の中村がバックスクリーンへの特大2ラン本塁打。PL学園高の清原和博(のち西武ほか)に並ぶ大会タイ記録の第5号だ。これで広陵が2点を先制。追う天理は3回裏、神野の三塁打などで同点とするも、直後の4回表、広陵も敵失と犠打、二塁打で手堅く1点をリードする。

 だが、その裏には天理も2本の単打に三塁打で2点を奪って逆転に成功。しかし、またしても直後の5回表、先頭の中村がソロ本塁打を放って早くも同点に。大会記録を更新する第6号は、値千金の同点本塁打となった。

17打点、38塁打も新記録


 広陵は6回表、5回の途中からリリーフに立っていた平元銀次郎の2点適時打で勝ち越し。7回表には中村が走者一掃の二塁打を放って5点差とリードを広げた。その裏、天理も安原の2ラン本塁打で追い上げるも、9回表に九番の丸山壮史がソロ本塁打、二死からの3連打などでダメ押しの3点。それでも天理は、その裏に先頭から怒涛の5連打で3点を返す猛追も、最後に及ばなかった。

 この日、2本塁打7打点の中村は、大会6本塁打に加え、38塁打、17打点と記録を更新。まさに新記録ラッシュとなった一戦だった。


2017年(平成29年)
第99回大会・準決勝
第13日

広陵 200 112 303 12
天理 002 200 203 9

[勝]平元
[敗]碓井涼
[本塁打]
(広陵)中村2、丸山
(天理)安原

写真=BBM
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