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夏の甲子園名勝負

史上初の春夏同一カード決勝は藤浪の完封で大阪桐蔭が春夏連覇!/夏の甲子園名勝負

 

いよいよ第101回大会を迎える夏の高校野球。1915年、つまり大正4年に始まり、昭和、平成という時代を経て、この夏が令和最初の大会でもある。昨夏、平成最後の大会となった100回までの長い歴史の中で繰り広げられた名勝負の数々を、あらためて振り返ってみる。

悲願と雪辱が懸かった光星学院


春夏連覇を達成して胴上げされる大阪桐蔭・西谷監督


 2018年の夏、第100回大会で全国の頂点に立ち、2度目の春夏連覇を果たした大阪桐蔭だが、この夏は大阪大会の準々決勝で金光大阪に惜敗。その金光大阪も決勝で履正社に敗れ、甲子園の土を踏むことはできなかった。

 かつてPL学園が一世を風靡し、やがて大阪桐蔭が君臨した大阪の勢力図が変わりつつあるのかもしれない。ただ、大阪桐蔭も、このまま歴史から姿を消していくとも思えない。夏の初出場は春夏連続となった1991年で、いきなり全国制覇。それが20世紀としては最後の出場となったが、21世紀に入ってからは甲子園の常連に。この約30年間で5回、春夏を合わせれば8回の優勝を数える。そんな大阪桐蔭が初めて春夏連覇を達成したのが、2012年、第94回大会だった。

 春のセンバツでは、決勝で光星学院と激突。13安打7得点でセンバツ初優勝を決めた。そして迎えた夏も順調に勝ち進む。初戦の2回戦から木更津総合、濟々黌、天理を次々に下し、準決勝では藤浪晋太郎(現・阪神)が明徳義塾を完封。ピンチらしいピンチもないまま決勝を迎えたが、その相手はセンバツの決勝を戦った光星学院だった。

 春夏同一カードの決勝は史上初。光星学院は3年連続の決勝進出ながら、前年まで2年連続で準優勝にとどまっていた。「三度目の正直」で悲願の初優勝に挑むところが、その相手がセンバツで涙をのんだ大阪桐蔭だ。悲願の達成に雪辱を期す思いも加わって、闘志は並々ならぬものがあっただろう。

 打線も三番の田村龍弘(現・ロッテ)、四番の北條史也(現・阪神)が、神村学園との3回戦、東海大甲府との準決勝でアベック本塁打を放ち、特に北條は大会4本塁打と準備万端。だが、そんな強打者コンビに、藤浪が最速153キロの快速球を武器に立ちはだかる。

藤浪は決勝タイの14奪三振


 藤浪は1回表から三者凡退、三番の田村を3球三振に仕留めるなど、完璧な立ち上がり。2回表も先頭の北條を3球三振に斬って取ってリズムを作る。大阪桐蔭打線は4回裏、先頭打者で六番の白水健太がソロ本塁打を放って先制。5回裏には3連続内野安打に敵失も絡んで2点を追加した。

 一方の光星学院は、藤浪の前に沈黙を続ける。2回表の内野安打を最後に、4回表から6回表まで連続で三者凡退。9回表一死から田村が中安打を放って意地を見せたが、後が続かず。

 完封した藤浪の14奪三振は、1934年に呉港中の藤村富美男(のち阪神)がマークして以来、78年ぶりとなる決勝タイ記録だった。


2012年(平成24年)
第94回大会・決勝
第15日

光星学院 000 000 000 0
大阪桐蔭 000 120 00X 3

[勝]藤浪
[敗]金沢
[本塁打]
(大阪桐蔭)白水

写真=BBM
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