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巨人の二番・坂本勇人の意味と「二番最強説」とは?【前編】/元ソフトバンク・柴原洋に聞く

 

読者からの質問にプロフェッショナルが答える「ベースボールゼミナール」。今回は打撃編。回答者は現役時代に巧打の選手として活躍した、元ソフトバンク柴原洋氏だ。

Q.2019年シーズンから3度目の指揮官に復帰した原辰徳監督は、二番に坂本勇人選手(一時、丸佳浩選手)を置く、攻撃的な打線で現在リーグ首位を快走しています。MLBでは『二番最強説』があるとニュースで見ましたが、どういうことでしょうか。巨人の二番・坂本選手の効果、意味と合わせて教えてください。(福岡県・15歳)



A.一番が出塁すればロングヒットで1点が求められる


攻撃型二番として巨人を引っ張る坂本


 これまでの日本球界では、二番にはバントができて、つなぎのできるタイプの選手が求められてきました。一番打者が出塁すると、すかさず犠牲バントで送ったり、右打ちをして確実に得点圏にランナーを進め、クリーンアップにチャンスで回す役割です。

 今回、ジャイアンツの原辰徳監督が坂本勇人選手を二番に据えたのは、このような従来型の二番の仕事を期待しているのではなく、一番が出塁すれば、すかさずロングヒットで1点、簡単に言うと「2人で1点を取ってしまおうよ」というイメージですね。仮に一死から坂本選手でも、今季はすでにオールスターブレーク時点で25本塁打(セ・リーグトップタイだそうです)と一発もありますし、選球眼も良ければ、単打で出塁すると足もあるという、非常に厄介なバッターです。

 しかも、後ろには2年連続セ・リーグMVPの丸佳浩選手が控えているわけで、一、二番で1点を取ると、三番の丸選手も絡んでもう1点。原監督は開幕前に「初回に2点以上を取る打線」という話をしていたそうですが、一番の理想はこの形ではないでしょうか。一死から二番を迎えても、同じことで、二、三番の2人で1点が取れますし、四番には少し率が上がってこないものの、昨年3割、30本塁打、100打点のポテンシャルのある四番・岡本和真選手がいます。

 これは考えれば考えるほど、相手守備側にとってはいやな“打線”だと思いますし、そう思わせるのもやはり、坂本選手が二番にいるからでしょう。

 ちなみに、過去にも二番に攻撃型の選手を配置し、得点力を伸ばした例があります。例えば、私が現役のころのファイターズは、小笠原道大(現中日二軍監督)さんが、「バントをしない二番打者」で一躍有名になり、その後、クリーンアップに回ってパ・セでMVPを獲得しています。

 ホークスでも2001年に私が一番に座り、バルデス(外国人選手の二番です!)が二番に座る攻撃的なオーダーで“ダイハード打線”と呼ばれました。2人そろって打率は3割を超え、私は出塁すると変に盗塁を意識せず(8盗塁)、外野の間を抜けたら一気に一塁からホームへかえることを考えていました。ちなみに、この年のバルデスの打点は81で、三番の井口資仁(現ロッテ監督)の盗塁が44でタイトルを獲っています。

<「後編」に続く>

●柴原洋(しばはら・ひろし)
1974年5月23日生まれ。福岡県出身。北九州高から九州共立大を経て97年ドラフト3位でダイエー(現ソフトバンク)入団。11年現役引退。現役生活15年の通算成績は1452試合出場、打率.282、54本塁打、463打点、85盗塁。

写真=BBM
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