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巨人の二番・坂本勇人の意味と「二番最強説」とは?【後編】/元ソフトバンク・柴原洋に聞く

 

読者からの質問にプロフェッショナルが答える「ベースボールゼミナール」。今回は打撃編。回答者は現役時代に巧打の選手として活躍した、元ソフトバンク柴原洋氏だ。

Q. 2019年シーズンから3度目の指揮官に復帰した原辰徳監督は、二番に坂本勇人選手(一時、丸佳浩選手)を置く、攻撃的な打線で現在リーグ首位を快走しています。MLBでは『二番最強説』があるとニュースで見ましたが、どういうことでしょうか。巨人の二番・坂本選手の効果、意味と合わせて教えてください。(福岡県・15歳)



A.坂本勇は打順に左右されない積極性が◎


攻撃型二番として巨人を引っ張る坂本


 前回の続きです。巨人の坂本勇人選手には、これまでの日本球界の、いわゆる“二番打者像”にある、つなぎや犠牲の働きが求められているのではなく、一番バッターが出塁すれば、すかさずロングヒットで1点という、得点力が求められての起用であることを解説しました。もちろん走者なしの場合は、チャンスメークの力も期待されています。

「二番最強説」という名称は個人的にはどうかと思いますが、極論すると、二番打者を置かずに、一番の次からクリーンアップというイメージでしょうか。そんな坂本勇選手が二番にいることで、三番・丸佳浩選手、四番・岡本和真選手とのつながりも良く、相手守備側にとってはいやな“打線”が今年のジャイアンツの特徴でしょう。1点ずつを取っていくのではなく、2、3点を一気に取っていってしまうことも可能で、現在リーグ首位を走る原動力になっていると思います。

 坂本勇選手の今シーズンのパフォーマンスを見ていると、セ・リーグ新記録の開幕36試合連続安打と好スタートを切り、交流戦期間中に少しだけ調子を落としたものの、長引かせることなくすぐに盛り返して、8月13日時点で本塁打(31本)はリーグ1位、打点は(78点)はリーグ2位です。その打撃の内容としては、右方向にも打ってはいますが、それは来たボールに対して素直に打ち返しただけで(大きい当たりもありますね)、走者一塁だから、走者二塁だからというケースにとらわれることなく、積極的に打ちにいっているように感じますし、その姿勢が結果につながっています。

 その他の球団の二番で言えば、ソフトバンクの今宮健太選手もそうです。開幕から2カ月は3割前後をキープし、ホームランも12本出ています。これだけ打って出れる、打ってかえせるようになると、昨年まで一軍8シーズンで292犠打のバント職人でさえ、ケガで途中離脱があったとはいえ現在4犠打。送る必要がなくなり一気に仕掛ける野球に変えることができた、と言えると思います。後半戦開始時点ではDeNA筒香嘉智選手を二番に据えました。巨人の成功例もありますし、今後、二番に強打者を置く形が増えるかもしれません。

<「完」>

●柴原洋(しばはら・ひろし)
1974年5月23日生まれ。福岡県出身。北九州高から九州共立大を経て97年ドラフト3位でダイエー(現ソフトバンク)入団。11年現役引退。現役生活15年の通算成績は1452試合出場、打率.282、54本塁打、463打点、85盗塁。

写真=BBM
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