ファン一人ひとりの胸に宿る甲子園のヒーロー。第100回の大きな節目となった夏の甲子園を前にNPB100人に「甲子園のヒーローは?」とアンケートを実施して「B.B.MOOK1414 ファンが選ぶ名勝負ランキングベスト100」に掲載したのをここに公開。迎えた第101回、新たなるヒーローは誕生しただろうか? 全国制覇の原動力となった2人の強打者
高校野球では、どうしても投手が目立ちがちだ。近年は減ってきたものの、かつては多くの場合、背番号1のエースがマウンドを1人で守り抜いていた。相手の攻撃になれば、とにかく投げ続けなければならない。このとき、もちろん捕手も投球を受け続けているのだが、マスクとプロテクターで姿が隠れていることもあり、やはり甲子園のド真ん中で、ひたすら汗をかいている姿を見せ続けている投手よりも注目を集めることは難しいだろう。
プロ野球と違って、打者としても注目されている投手も多い。こうしたアンケートに基づいたランキングでは、やはり投手には圧倒的に有利だ。
ただ、当然のことながら、野球は投手だけで回っているものではない。四番打者を担う強打者が打線の中心とはいえ、1人で9人分のプレーを担うこともできない。さまざまなポジションに、さまざまな個性を持った選手たちが並んでいるからこそ、野球は野球として成立し、そして、おもしろい。今回、3票を獲得して7位に並んだのは5人。偶然には違いないが、キャラクターの大きく異なる5選手が並んだ。
【NPB100人が選んだ甲子園のヒーロー】
・7位タイ(3票)
★
清原和博(PL学園・内野手。のち
西武ほか)
★
武内晋一(智弁和歌山・内野手。のち
ヤクルト)
★
ダルビッシュ有(東北・投手。カブス)
★
平田良介(大阪桐蔭・外野手。
中日)
★
今宮健太(明豊・内野手、投手。
ソフトバンク)
(出場校とポジション。プロ球歴)

PL学園・清原和博
1年生だった1983年の夏に四番打者として全国制覇を成し遂げ、以降5季連続出場、最後の夏にも頂点に立った清原が7位にランクイン。やはり票を入れた3人は首脳陣と大ベテラン。2018年に現役を終えた
岩瀬仁紀は「子どものころのヒーロー。同学年には星稜の
松井秀喜(のち
巨人)もいたけど……」と振り返る。

智弁和歌山・武内晋一
岩瀬と同様、18年に現役を引退した武内晋一も清原に並ぶ。2000年の夏に2年生ながら智弁和歌山の主軸として優勝の原動力となった。票を入れた3人は、いずれもヤクルトでチームメートだったことがある
田中浩康、
川端慎吾、
中村悠平だ。1学年だけ先輩の田中は高校時代に対戦した経験があり、早大でもチームメート。川端は同郷でもある。田中は「タダ者じゃないと思っていました。大学に入って武内と同じチームでプレーできてうれしかったですね」、甲子園で武内のプレーを見た川端は「ヤクルトは同期入団。あのときも、あの武内さんだ、とあこがれの目で見ていました」という。

東北・ダルビッシュ有
メジャーでも活躍するダルビッシュは春夏4度の出場経験を持つ。票を入れた
阪神の
上本博紀は同学年で、「甲子園の開会式で実際に会って、イケメンだな、カッコいいな、って。スターを見るような感覚でした」と振り返る。

大阪桐蔭・平田良介
中日の平田に投票した大阪桐蔭の後輩でもある
日本ハムの
中田翔は「僕が1年で平田さんが3年。一緒に甲子園へ出させてもらったときに(清原に並ぶ)1試合3本塁打。ああいう大舞台で、さすがだな、と思いましたよね」という。

明豊・今宮健太
今宮に票を投じた3人のうち2人はソフトバンクのチームメート、
森唯斗と
甲斐拓也。もう1人は西武で四番を担う
山川穂高だ。森と山川は今宮と同学年で、ともに投手としての今宮が印象に残す。森は「僕は頑張っても140キロ出るかどうかだったので、あの体(172センチ)で154キロ。何なんやコイツ、と」。山川は「ただただ、すっげぇ、と。ビックリしました。あれだけのポテンシャル。そりゃあ、プロに入っても活躍しますよね」と賛辞を送っている。
写真=BBM