週刊ベースボールONLINE

週べ60周年記念

三原脩監督と野村克也のフグ論争?/週ベ回顧

 

 昨年、創刊60周年を迎えた『週刊ベースボール』。現在、(平日だけ)1日に1冊ずつバックナンバーを紹介する連載を進行中。いつまで続くかは担当者の健康と気力、さらには読者の皆さんの反応次第。できれば末永くお付き合いいただきたい。

根本カープ快進撃


表紙は広島根本陸夫監督



 今回は『1968年7月1日号』。定価は60円。

「まいった、まいった。まったくの完敗です。好きなように書いてください」
 巨人川上哲治監督は試合後、何度も「完敗」と言いながらバスに乗り込んだ。
 6月8日から9日の広島─巨人戦(広島)は広島が3連勝で一気に首位に立った。

 8日の試合前、広島・根本陸夫監督の先制パンチは“予告先発”。「きょうは白石(静生)を先発に使います」ときっぱり。「対策は十分。今さら隠すことはない」と続けた。
 白石もまた、
「先発が僕というのがばれたんですか。面白いな。巨人さん、どんな手を打ってくるのかな」
 と余裕たっぷりだったという。
 
 ぎっしり満員となった市民球場のファンも大盛りあがり。ONの凡退時には「オレは死んじまっただあ」と大合唱が沸き起こった。

 9日のダブルヘッダー第1試合では客席で撮影していた新聞社のカメラマンが試合後、席を立とうとすると、3、4人の男に肩をつかまれ、
「あんたはゲンのいいひとじゃ。きのうもあんたがここにいたから勝てた。いまここを動いたらいけん。2試合目が終わってからいきんさい。ビールでも酒でもウイスキーでもサービスするけん。どんどん飲みんさい」
 と言われる一幕もあったとか。

 パでは三原脩監督の近鉄が首位もやや足が鈍り気味。ひたひたと追うのが、南海だった。この三原監督と南海・野村克也捕手で「フグ論争」があったという。
 これは三原監督が「南海に勝つにはフグみたいな顔の野村を混乱させたらいい。そうしたらあのチームは狂ってしまう」と話したのがきっかけ。

 これを伝え聞いた野村は、
「フグてなんや。自分はどれだけ男前やと思っとるんや。ええ恰好ばっかりしとるが、昔の野球はいつまでの通用しまへんで」
 とやり返した(記者に)。
 
 話はさらに続き、それを伝え聞いた三原は「ワシのどこが昔の野球なんだ。聞きたいものだ」と応戦。
 南海・鶴岡一人監督がかぶせる。
「やれよ、ムース(野村)。俺が審判をやってやる」
 実現はしなかったようだが、していたら、かなり面白かったのではないか。残念。

 では、またあした。
 
<次回に続く>

写真=BBM

週刊ベースボール編集部

週刊ベースボール編集部

週刊ベースボール編集部が今注目の選手、出来事をお届け

関連情報

みんなのコメント

  • 新着順
  • いいね順

新着 野球コラム

アクセス数ランキング

注目数ランキング