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夏の甲子園名勝負

“平成の怪物”松坂が59年ぶり決勝ノーヒットノーランで横浜が春夏連覇/夏の甲子園名勝負

 

いよいよ第101回大会を迎える夏の高校野球。1915年、つまり大正4年に始まり、昭和、平成という時代を経て、この夏が令和最初の大会でもある。昨夏、平成最後の大会となった100回までの長い歴史の中で繰り広げられた名勝負の数々を、あらためて振り返ってみる。

横浜、3試合連続の奇跡


1998年夏、決勝でノーヒットノーランを達成した松坂


 1998年のセンバツを制した横浜。春夏連覇を懸けて臨んだ夏の第80回大会では、準々決勝でPL学園と延長17回の死闘を繰り広げたことは紹介した。この試合で250球の完投勝利を収めたのが“平成の怪物”松坂大輔(現・中日)だ。そして明徳義塾との準決勝、6点ビハインドの8回裏に4点を奪い、続く9回表に松坂が救援登板したことで球場の雰囲気が一変、その裏に横浜がサヨナラ勝ちしたことも紹介した。2日連続の奇跡。そして迎えた決勝、奇跡は3日連続で起きる。

 対する京都成章は夏2度目、春夏を合わせて3度目の出場。仙台との1回戦で甲子園初勝利を挙げると、2回戦で如水館、3回戦では桜美林と次々に下し、準々決勝で常総学院、準決勝でも豊田大谷を撃破して、決勝へとコマを進めた。エースの古岡基紀は5試合すべてで完投勝利。1人で京都成章のマウンドに立ち続けてきた左腕だ。

 一方の松坂は、まだ疲労が残っている中で決勝のマウンドに上がった。1回表、先頭打者の沢井芳信が放った打球は、三塁への痛烈な当たりに。これを三塁手の斉藤清憲が体を張って止めて、三ゴロに。松坂は三振を狙って取りにいかず、「今日は打たせていこう」と気持ちを切り替えた。

 その裏から古岡も完璧な投球で、3回裏まで3イニング連続の三者凡退。1回表一死から四球で走者を出しながらも併殺で切り抜けた松坂も、2回表から4回表まで3イニング連続三者凡退と、試合は投手戦の様相を呈し始めた。だが、4回裏に試合が動く。疲労困憊なのは松坂だけではなかった。この日、古岡が許した初安打は、痛恨の一撃となる。

 一死から二番の松本勉が自信の初本塁打となるソロを放って、横浜が先制。続く5回表を松坂が3者三振で斬って取ると、その裏にも横浜は1点を追加。リードを2点差に広げて、力投する松坂を援護した。

「最後は三振を狙う」


 松坂は6回表も三者凡退。7回表には振り逃げで、8回表には先頭打者に四球を与えて走者を背負うも、後続を断つ。8回裏には先頭打者の松坂が中安打を放ち、犠打で二進。試合開始早々に好守を見せた斉藤清の中間打で生還して、ダメ押しの追加点を挙げる。

 そして、その裏。松坂は捕手の小山良男(のち中日)と、「最後は三振を狙う」と決めていたという。二死から四球の走者を許すも、三番の田中勇吾を空振り三振。史上5校目の春夏連覇は、59年ぶり史上2人目となる松坂の決勝ノーヒットノーランで達成された。


1998年(平成10年)
第80回大会・決勝
第17日

京都成章 000 000 000 0
横浜   000 110 01X 3

[勝]松坂
[敗]古岡
[本塁打]
(横浜)松本

写真=BBM
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