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2019夏甲子園

U-18W杯で気になる佐々木朗希の起用法は?

 

日本中が注目する甲子園。現地で取材を行う記者が、その目で見て、肌で感じた熱戦の舞台裏を写真とともにお届けする。

決勝まで10日間で9試合


大船渡・佐々木朗希が高校日本代表に選出された。「甲子園」は逃したものの「世界一」をかけた戦いが待っている(写真=BBM)


 履正社と星稜。決勝進出校が決まった準決勝第2試合終了後、甲子園のインタビュー通路は慌ただしい空気に包まれた。

 星稜と中京学院大中京の一連の取材が終わり、両校が球場を引き揚げると、重要なリリースがあった。

 8月30日、韓国で開幕するU-18W杯に出場する高校日本代表20人の発表である。熱戦の最中ではあったが、甲子園の大会期間中も「入るのか?」「入らないのか?」と話題となっていた超注目球児がいた。

 日本高野連関係者から報道陣に配布された用紙を見ると「背番号11・大船渡・佐々木朗希」が記載されていた。

 最速163キロ。「通常」ならば侍ジャパン入りは間違いない実力であるが、「当確」とは言い切れない事情があった。

 今夏は同校35年ぶりの甲子園まであと1勝も花巻東との岩手大会決勝を登板回避。大船渡・國保陽平監督によれば、その理由は「故障防止」。救援だけでなく、野手としても出場しなかった。

 投げようと思えば、投げられる状態だったというが、その真意は本人にしか分からない。敗退から約1カ月が経過し、その後のコンディションに注目が集まっていた。

 そこで気になるのが、起用法である。

 U-18アジア選手権は8月30日から5試合(スペイン、南アフリカ、アメリカ、チャイニーズ・タイペイ、パナマ)のオープニングラウンド(日本はグループB)を戦い、上位3チームがスーパーラウンドへ進出する。9月4日は予備日(休養日)で、同5日からは3連戦で、グループAの上位3チームと戦い、同ラウンドの上位2チームが決勝へ進出する(3、4位チームは銅メダルをかけた3位決定戦)。なお、グループAは韓国、オーストラリア、オランダ、カナダ、ニカラグア、中国がエントリーしている。

 最新のWBSCランキングから見ると、日本(1位)、アメリカ(2位)、韓国(3位)、チャイニーズ・タイペイ(4位)による金メダル争いが予想される。

 決勝まで10日間で9試合。毎回のことではあるが、高校生には経験したことがない超過密日程が待ち受ける。首脳陣としては投手登録9人をどう、やりくりしていくかが、腕の見せどころだ。日本のエース・佐々木をどこへはめ込むか? 興味は、そこに尽きる。

神宮で東京初登板?


 昨年9月のU-18アジア選手権(宮崎)に続いて球数制限(105球以上を投げた場合は中4日、50〜104球は中1日)がある。佐々木の登板は1試合104球以内に抑えたと想定して、最大3試合で出番がありそうだ。オープニングラウンドの最初のヤマ場となる9月1日のアメリカ戦、中3日でスーパーラウンド第1戦(同5日)、そして中2日で決勝(同8日)の先発を任せるのが現実的と言えそうだ。

 この登板間隔が「保証」されれば、國保監督が懸念し続けていた「故障」の心配もないはず。さらに逆算すれば、国内で最終調整の場もある。8月26日、大学日本代表との壮行試合が神宮で開催。7月24日の岩手大会準決勝(対一関工)以降は公式戦マウンドから遠ざかっており、実戦感覚を戻すには最高のステージと言える。東京初登板で、どんなパフォーマンスを見せるのか――。熱戦の甲子園が閉幕すれば、高校野球界の話題は再び「佐々木朗希」が独占しそうである。

文◎岡本朋祐(週刊ベースボール編集部アマチュア野球班)
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