8月21日の中日戦(ナゴヤドーム)で先発した菅野智之が、7回1失点で10勝目を挙げた。三者凡退に抑えた6回以外は毎回安打を許し、計8本のヒットを許しながらも要所で決定打を許さないのはさすが。1失点も3回の併殺崩れの間によるもので、5回二死一、二塁で中日の四番・
ビシエドを迎えた場面では遊飛に打ち取り「うまくバッテリーで攻めていけました」と振り返っている。
試合後、プロ7年目で6度目の2ケタ勝利に達したエースに対し、
原辰徳監督も「ちょっとヒットは打たれましたけど、要所をしっかり締めたというところでしょうね。毎年安定している素晴らしい投手ですね」と高く評価した。
ただし、菅野本人は3年連続6度目の2ケタ勝利に関しては「あまり実感はない」としている。これは腰の違和感(登録抹消あり)やコンディション不良などで昨季まで2年連続で沢村賞を獲得した、他を圧倒する投球ができていないからだが、それでも体調面の不良は改善しつつある。コンディションがすぐれない6月に血液検査など徹底的に検査をした結果、体質的に乳製品や小麦類を受け付けない体(アレルギー)であることが判明。これまで体に良かれと思って食べていたヨーグルトはガスが溜まる原因となり、うどんなどは小腸に炎症が出てしまうという。小腸は栄養を吸収してエネルギーにかえるが、試合直前などにパワーに変える目的で口にした麺類が、実は逆効果だったというわけだ。
これらの検査を経て、取り組んでいるのが食生活の改善。グルテンフリー(主に小麦などの穀物に含まれるタンパク質から生成される、『グルテン』を摂取しない食事療法のこと)と乳製品を摂取しないことで体調を戻し、徐々に本来の姿を取り戻しつつある。「体調はすこぶるいいですし、体も軽いです」と菅野。これらの取り組みはメンタル面の安定にも大きく影響しており、「コンディション不良の原因が分からず、すごく苦しんでいたので。ストレスも半端ではなかったですからね。マウンド上でのパフォーマンスにもつながっていることを感じます」と表情も明るい。
菅野が10勝目をマークしたこの日、
DeNAが
阪神に敗れたため、22日にも優勝マジック21か22が点灯する。「油断してはいけないと思っています。一戦一戦、勝っていきます」と気持ちを引き締めるエースの、復調が頼もしい。
文=坂本 匠 写真=BBM