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ベースボールゼミナール

巨人・菅野選手の特徴は? メジャー挑戦したらどうなる?/元阪神・藪恵壹に聞く

 

読者からの質問にプロフェッショナルが答える「ベースボールゼミナール」。今回は投手編。回答者はメジャー・リーグも経験した、元阪神ほかの藪恵壹氏だ。

Q.巨人の菅野智之選手は2017年、18年と2年連続沢村賞を獲得しています。どのような点が優れているのでしょうか。また、巨人はポスティングによるメジャー移籍は認めていませんが、今、メジャーに移籍したとしたら、どれくらいの活躍が見込めますか。(東京都・54歳)



A.メジャーでも十分に活躍するだけの技術的要素はある


メジャーで活躍するための技術的な要素を十分持つ菅野


 今シーズンは腰に異常が発生して交流戦直前に二軍調整を行うなど、過去2年の菅野選手とは状況が異なりますが、持っている力、技術が現在のNPBでトップであることは間違いありません。質問の方がおっしゃるように、巨人は球団としてポスティングを認めておらず、海外への移籍を目指すのであれば現状、FA(2020年終了後以降)以外は考えられませんが、昨季の状態でメジャーに移籍したらどうか、考えてみましょう。

 まずどこの球団にいくかで大きく異なりますが、受け入れる側が1〜2番手のスターターとして考えているのであれば、1シーズンで33〜36試合を投げることが求められます。ローテーションを守り切れたとしたら、打線との絡みはあるとはいえ、5割の勝率でも16勝〜18勝の計算で、良ければ20勝も菅野選手の力であれば、あり得るのではないでしょうか。

 ただし、スターターとして1シーズン、ローテーションを守り抜くことがまず最大の難関で、さらにこれを何年続けられるか、が重要ではないでしょうか。MLBでは球数をチームが管理しますし、球数を抑えてイニングを伸ばさないと勝ち星は伸びません。今シーズンよりマリナーズでプレーする菊池雄星選手は、この部分でいまも苦しんでいますね。

 イニングを稼げないスターターは当然、登板のチャンスを失うことになります。だからこそ、昨今のMLBはツーシームなどの真っすぐに近い速い変化球(彼らは変化球とは考えていないと思いますが……)が全盛なのです。1球で打ち取ろうと。

 その点、菅野選手はシンカー気味に沈むワンシームに、ツーシームも操ります。チェンジアップは持ち球にないようですが、フォークもあり、カットボール、スライダーも2種類ずつ投げ分けるなど、球種が豊富。そして何よりもどのボールも自在にコントロールできる制球力が魅力です。ココという場面ではギアを上げられるなど、強弱も付けられます。MLBで活躍するための技術的な要素は十分に持っていますよね。

 あとはタフさですが、今季に限らず離脱はあるとはいえ、6シーズンで164試合に投げて、平均で7イニングを投げていますから、その点も心配はなさそうです。今ならば十分に力を発揮できるでしょうが、果たして、本人はどう考えているのでしょうか。

●藪恵壹(やぶ・けいいち)
1968年9月28日生まれ。三重県出身。和歌山・新宮高から東京経済大、朝日生命を経て94年ドラフト1位で阪神入団。05年にアスレチックス、08年にジャイアンツでプレー。10年途中に楽天に入団し、同年限りで現役引退。NPB通算成績は279試合、84勝、106敗、0S、2H、1035奪三振、防御率3.58。

写真=BBM
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