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週べ60周年記念

東映の経営危機?/週ベ回顧

 

 昨年、創刊60周年を迎えた『週刊ベースボール』。現在、(平日だけ)1日に1冊ずつバックナンバーを紹介する連載を進行中。いつまで続くかは担当者の健康と気力、さらには読者の皆さんの反応次第。できれば末永くお付き合いいただきたい。

江夏豊のON攻略法


表紙は巨人王貞治



 今回は『1968年7月29日号』。定価は60円。

 阪神の2年目、若き左腕・江夏豊が好調だ。特に奪三振、7月13日に早くも200奪三振をマークした。
「僕の生きがいは奪三振。勝ち星ではバックのいい堀内(恒夫。巨人)や連投のきく鈴木(啓示。近鉄)にはかなわないが、奪三振だけは譲れない。
 今年は20勝はもちろん狙いますが、それより金田(正一)さん(巨人)のシーズン350奪三振の記録を破ることです。金田さんは、僕が3歳のときにもう投げていた。
 小さいころからのあこがれであり、その人の記録を破り、少しでも大投手・金田さんの域に達したい」
 なお、ON攻略法を尋ねると、
「逃げてはダメ。真っ向から勝負すること」
 人気が出るはずだ。

 低迷の東映が球団経営のピンチを迎えている。
 痛かったのは、ドル箱だった後楽園のボックスシート。これは巨人と東映のセットで売られ、取り分が巨人7、東映3だったという。およそ2億円が東映に入っていたらしい。
 これを巨人側が来年から巨人、東映で別々で売ろうと言ってきた。
 後楽園の観客動員は巨人戦が4万人強、東映戦が1万人弱と言われていたが、巨人側は7、3がどうより、2球団セットゆえに高額だった料金を他球場並みにしたい、という思いがあったらしい。
 1球団でも完売間違いなしの巨人に対し、東映は人気急落中。営業担当は頭を抱えていた。

 もう1つ深刻かつ、ややこしいのは、親会社の問題だ。東映が親会社の東急グループから独立した際、10数億円の資金を借りたらしいが、この返済期限が68年の9月いっぱいという。
 この返却のめどがまったく立っていない。

 さらに球団そのものの問題もあった。球団名は54年から「東急フライヤーズ」が「東映フライヤーズ」とはなっているが、連盟への届けられている正式な登録名は、
「東急フライヤーズ野球倶楽部KK」のままだった。
 実際には所有者は東急で、東映に経営を委託した形だったというわけだ。
 ただ、東急はまったく球団経営に興味を持っておらず、東映が万が一倒産となった場合、球団消滅もある、というウワサだった。

 本日アップ遅れ、すいません。
 では、またあした。
 
<次回に続く>

写真=BBM
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