完成度の高いフォーム
奥川の連続写真
8月28日発売の週刊ベースボールでは、第101回全国高校野球選手権大会を大特集。初の試みだが、出場49校全登録メンバーの写真名鑑などを掲載している。
今回は、その中の記事の1つ。野球解説者・
川口和久氏による準優勝投手である星稜高・
奥川恭伸選手の投球フォーム解説を転載する。
「素晴らしいフォームですね。シンプルに見えますが、下半身の使い方の中に150キロを生み出す秘密があります。
まずセットの構えですっと真っすぐ立っていますが、ヒザが少し緩み、重心が下に落ち、余分な力がまったく入っていません。
そこから左足を腰よりヒザが高くなるまで上げて軸足に力をため、つま先をやや外野側に向けながら、ゆったりと左足を垂直に下ろしていきます。
このとき一度両ヒザがくっ付きそうになっているように見えますが、これは少しずつ体が前に行きながらも、お尻と足の外側のヒザにかけての部分でしっかり壁を作っているからです。
上体にはまだ力が入っておらず、お尻が少し回ったような形ながら、肩のラインは打者方向に向いています。グラブが下がり握りを隠すようにしている、このあたりは私の先輩で200勝投手の
北別府学さん(元
広島)に似ていると思います。
ここから体重移動をしていく中で、ヒザを外野方向に向けたまま、左足のかかとを跳ね上げるような動きが最大の特徴です。これで軸足にためた力を逃がさず、間をつくっている。左腕もうまく使い、体はまったく開いていません。
ステップした足を着け、ヒザを切り返し、開かないように我慢していた腰を一気に回しています。この切り返しの速さも、150キロを投げるための大切なポイントです。
腕は遅れて出ていき、胸を張って右足、背中、右腕で逆Cの字をつくり、背筋の力で一気に腕を振ります。
このとき左ヒザはゆるんだところから、体が前に行かないように伸ばして止め、腕を加速させます。
この後の写真を見ると分かりやすいのですが、リリースの後、体が真っすぐ伸び上がっていきます。これは軸足とステップした後の足のパワーバランスが取れ、力が左右に逃げていないからでもあります。
完成度の高い素晴らしいフォームだと思います。